アメリカの「選挙介入」を非難するロシア 大統領選控え警戒ムード

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 ロシアの大統領選挙が今月18日に迫る中、現地ではアメリカによる選挙介入への警戒感が高まっている。政治干渉やサイバー攻撃などを牽制する政府関係者らの発言が目立つほか、議員からは外国人による選挙介入に対して死刑の適用を提案する意見も出ている。

◆「興味深い伝統」
 ザ・モスクワ・タイムズ紙は6日の紙面で、「第2次大戦後に国連憲章が制定されて以来、アメリカが恒常的かつ非合法に他国家に干渉してきたことが『証明』された」とする、ロシア連邦院の委員会によるレポートを報じた。1946年以降、NATOなどの援助を得る形で60の国連加盟国に対して120件の干渉を実施したという内容だ。また、記事ではカーネギーメロン大学の研究を引き、アメリカによるロシアへの選挙干渉がソビエト時代に81件、ロシア時代に36件起きているとしている。

                                                                                                                 

 ロシアの見解はアメリカメディアでも報じられている。ニュースサイト『CNSニュース』(3月6日)は、サイバー攻撃を中心に伝えた。記事によるとロシアのセルゲイ・リャブコフ外務次官は、大統領選挙および議会選挙前になると国内のサイバーシステムへの攻撃が増加していると指摘している。若年層の政治意見への影響をねらったものと見られる。これとは別にドミトリー・ペスコフ大統領報道官は、アメリカが他国選挙への干渉を行う「興味深い伝統」を持つなどと揶揄している。

◆死刑も視野
 ロシア側が過敏になるのは、大統領選を18日に控えているためだ。CNSニュースは、プーチン氏が4選を果たし、任期は2024年までになるとの見通しを伝えている。強力な対抗馬は存在しないが、氏が気を揉むのは投票率だ。投票率を低下させ政権の権威に水を差すべく、反政権派が投票のボイコットを呼びかけている。

 大統領選への具体的な干渉例として、ニューズウィーク誌(電子版、3月5日)はアメリカによる経済制裁を挙げる。セルゲイ・リャブコフ外務次官は、アメリカが予定している新たな経済制裁が選挙への干渉を意図したものだとして非難した。また、レオニード・カラシニコフ下院議員からは、外国人による選挙介入に死刑を適用する提案まで出ている。同議員は選挙への不正な干渉は「レイプと殺人を除けば、存在し得る最悪の犯罪」だと述べ、問題の重みを強調した。

◆当のロシアも……
 ただし、当のロシア側もアメリカへの介入の疑いが持たれている。CNSニュース誌によると、ジョン・ミード・ハンツマン米大使がロシアのラジオ番組に出演し、アメリカによる選挙介入を否定した。大使はさらにロシア側からの干渉にも警戒感を示した。アメリカで11月に行われる中間選挙への介入を行わないよう求め、もし行われれば「この(米露の)関係に破壊的な結果をもたらすと思う」と牽制した。これは2016年の米大統領選に対するロシアの介入疑惑を念頭に置いた発言だろう。

 ロシアによる干渉の疑いは、ニューズウィーク誌も指摘している。記事によるとアメリカの特別委員会は、13人のロシア人と3つのロシアグループが関与したとの調査結果を発表した。これに対しプーチン氏は、ロシア人の引き渡しを行わないことをすでに宣言している。両国の攻防に収束の兆しはない。

Text by 青葉やまと

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