「日本の空軍力はアジア最強」はもはや幻想か 海外誌が日中の戦闘機性能を比較

出典:航空自衛隊ホームページ

◆現実的な選択は米軍依存の継続か
 現代の中国機のベースになっているのは、1990年代末にロシアから購入したSu-27及びSu-30戦闘機だ。特にSu-30はF-15Jと互角かそれ以上と見られ、中国はこれをベースに国産のJ-11を300機以上生産。ディプロマットは、これにより日本は「技術的にも数の上でも劣勢になった」としている。さらに中国は、2014年に世界最先端に近い「第4世代++」のSu-35と、それを上回る第5世代の国産J-20を導入。これらがF-15をはるかに凌ぐことに、「ほぼ反論の余地はないだろう」と同誌は記す。

 F-15Jが辛うじて互角に戦える可能性のあるJ-11でも、搭載する空対空ミサイルの射程距離がF-15Jが75kmに対し、J-11は100kmから130kmと凌駕している。パイロットの練度については、ディプロマットは、「両軍の訓練時間や実戦経験の乏しさから見てほぼ同等」だと、勝敗を左右するほどの差はないと分析。そのため戦闘機同士の直接対決はほぼ機体の性能差で決まるとして、中国の優位は動かないと見ている。また、航空自衛隊が新たに採用したF-35Aについては、最新鋭の第5世代に分類されるが、空対空戦闘だけでなく対地攻撃能力なども考慮した多目的戦闘機であるため、空対空戦闘ではそれに特化したJ-11・J-20にはやはり苦戦するとしている。

 もちろん、日本の空の防衛力がライバル国の戦闘機との性能差だけで決まるわけではない。とはいえ、現在のアジア情勢を見れば、中国との直接的な軍事衝突が起きることを想定して装備を準備せざるを得ない状況であることも確かだろう。その点で米防衛シンクタンク「センター・フォー・ストラテジック・アンド・バジェタリー・アセスメンツ」は、アメリカが最新鋭の純戦闘機F-22ラプターを日本に供与しなかったことが、中国が戦闘機の性能面で優位に立った決定的な要素になったと、2009年の時点で指摘している(ディプロマット)。

 同誌は、直接対決で中国に敵わない日本は今や、駐留米軍に強く依存するか、独自に国産戦闘機を開発して少しでも中国との差を縮めるしか道はないと分析記事を結んでいる。それは、単純な軍事力競争で空の平和を維持するのはもはや無謀だという警告とも受け止められる。

Text by 内村 浩介