少年兵と遭遇した成人兵士、道徳的ジレンマに苦しむ
著:Michelle Jones(アングリア・ラスキン大学 Post Doctoral Research Assistant)
現代の戦争や紛争は民間人のいるそばで発生し、彼らを巻き込むことも多くなっている。そのため、職業軍人が作戦遂行中に子どもと遭遇する頻度もますます増えている。紛争地域での少年兵の登用を撲滅させようとする国際的な取り組みはあるものの、今でも30万人の子どもたちが紛争地域で戦いを続けているとみられる。昨今の紛争で少年兵を雇っているとしてメディアでよく取り上げられるのは、ボコ・ハラムやいわゆるイスラム国(IS)といった武装組織だ。いずれも子どもに自爆を強要し、死刑の執行をさせている。
少年兵の置かれている苦境は、それ自体緊急の課題だが、子どもに遭遇した職業軍人が蒙る影響は見過ごされがちである。
子どもは、様々な戦闘の場面で現れる。攻撃、自爆、さらには急ごしらえの爆破装置をしかけるなどして、子どもは戦闘に直接参加することができる。検問所間の物資の輸送や、敵軍へのスパイ行為をする補助要員として活用されることもある。敵の目をそらすためだけに使われたりもする。武装組織は子どもたちを人間の盾として使うこともある。射撃位置の最前線や戦略的に重要な拠点に子どもをあからさまに配置し、敵に迎撃や攻撃をさせないようにするのだ。
少年兵に遭遇した職業軍人は道徳的なジレンマを感じる。子どもたちやその仲間を守ってあげるべきか、子どもとはいえ自分にとって脅威となる相手に危害を加えるリスクを冒すべきか。ジャーナリストで学者でもあるロバート・タイン氏は次のように述べている:
西洋の伝統において、子どもは民間人だと考えられている。そのため、兵士は12、3歳の少年少女に向けて発砲するか、自分が撃たれるのを覚悟で発砲を躊躇するかの選択をしなくてはならない。軍人としての力はかなり弱められてしまう。改めて言うと、問題は、あなたならどうするかということだ。この問題やジレンマは、2つの行動を同時に行うことができないところからきている。それでも1つだけ選ばなくてはならない!
いずれにせよ、軍人として、そして作戦上、何らかの影響がもたらされる。チャールズ・ボルチーニ大佐によると、「AK-47自動小銃を手にした14歳の少年は、これと同じ武器を手にした40歳の兵士と同じくらい恐ろしい」。
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