巧みなイメージ戦、人々魅了した金与正氏 「北朝鮮のイヴァンカ」とも

Republic of Korea / flickr

 平昌オリンピックに合わせて北朝鮮の最高指導者である金正恩氏の妹にあたる金与正氏が訪韓したことは、朝鮮半島の融和ムードを盛り上げることとなった。金与正氏の佇まいは多くのメディアの注目の的となったのだが、同氏のほほえみの意味をめぐっては様々な見方があるようだ。

◆ほほえむ北朝鮮、無視するアメリカ
 ニューヨーク・タイムズ紙は、メディアの前では多くを語らないものも終始おだやかな笑顔であった金与正氏のほほえみを「スフィンクスのほほえみ」と表現している。そして、そういった姿勢によって同氏は、外交上のイメージ形成という駆け引きにおいて、トランプ氏の代理人として訪韓したペンス副大統領を出し抜くことに成功したと評した。訪韓におけるアメリカの強硬姿勢は徹底しており、ペンス副大統領は平昌オリンピック開会式に先立って行われた夕食会を欠席したほどであった。

 アメリカの強硬姿勢に関して、同記事はコネチカット大学教授で北朝鮮情勢のアナリストでもあるアレクシス・ダデン氏の分析を紹介している。同氏は「女子アイスホッケー南北合同チームがスタジアムに入場した時、ペンス副大統領は合同チームが参加するまでに至った両国の努力をたたえるべきでした。そうしていれば、北朝鮮との非核化に向けた平和的対話の助けとなったことでしょう」と述べている。

Text by 吉本 幸記