中国のなりふり構わない「拡張工作」に世界で反感高まる 豪では留学生に暴行も

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 さまざまな手法で諸外国の政財界に進出を試みる中国に対し、各国で警戒感が強まっている。オーストラリアでは、シドニー市議による中国への利益供与が発覚し、外国からの政治献金を禁じる法案が提出された。この他にも、ニュージーランド、アメリカ、スリランカなど、危機感を抱く国は多い。中国への反感が高まる一方、現地中国人への暴力事件も起きており、過剰反応は人権問題に発展しかねないとの意見も出ている。

◆拡大する影響力
 ワシントン・ポスト紙(12月19日)は「中華人民共和国に対して世界的な反感が醸成されている」とし、その背景として、世界各国での影響力拡大を例示している。産業スパイ行為、中国への技術移転の強要、国営メディアによるアメリカでのプロパガンダなど、様々な手段で干渉を試みる中国政府の手法を挙げる。ヨーロッパでは、中国国営企業の営利主義と、先端技術を持ったヨーロッパ企業の買収に対して批判が相次いでいるという。さらに、一帯一路を押し付ける姿勢には、かつての親中国も苛立ちを募らせる。一例としてスリランカは、約80億ドルの借金を中国系企業に対して抱えた結果、重要な港を中国に99年間の長期でリースする事態になっている。主権が危ぶまれるという意見もあるようだ。

 CNBCによると、ITと教育を通じた工作も行われている。ニュージーランドでは中国が機密情報へのアクセスを試みていると発覚した。また、ドイツではビジネス用SNS『LinkedIn』を使い、中国側スパイが政界への接近を試みていたことが明るみに出ている。マルウェアやフィッシングを通じ、外国の教育機関の言論も監視しているという。

Text by 青葉やまと