国連事務次長が北朝鮮訪問 平壌の外交チャンネルとは?

Jon Chol Jin / AP Photo

 北朝鮮が国連高官との会談に応じた。国際社会で孤立を深める北朝鮮の首都平壌(ピョンヤン)で、双方がその意思を探り合う貴重な機会だ。事務次長は元外交官という経歴を持つアメリカ人だ。

 今月初めに平壌を訪問したジェフリー・フェルトマン事務次長と北朝鮮との間で、どのような話し合いが行われたのか、その内容が明らかにされるには時間がかかると思われる。北朝鮮が外国の代表団との会談内容を公にすることはほとんどない。国連側も、政治担当事務次長のフェルトマン氏が4日間に及ぶ訪問日程を終了するまで、メディアに詳細を公表するつもりはないと話した。

 最近、北朝鮮を訪問した各国代表団や、北朝鮮が長距離弾道ミサイルの発射以外の方法で展開する外交の手法を見てみよう。

◆中国の特使
 11月、中国は過去2年間で最も位の高い特使を北朝鮮に派遣した。表向きには、中国共産党の党大会の状況を伝達するための特使派遣だ。政府高官の宋濤(ソン・タオ)氏は中国の習近平国家主席の特使として北朝鮮を訪問した。彼は金正日(キム・ジョンウン)党委員長の側近である崔竜海(チェ・リョンヘ)中央委員会副委員長と面会した。金正恩党委員長は、中国が再三にわたって核やミサイル実験を凍結、そして軍縮協議への復帰するよう求めているにもかかわらず、それを無視する姿勢を崩しておらず、両国の関係は悪化している。今回の訪問からは、習国家主席が両者の関係改善のため、新たなアプローチを探ろうとしていることがうかがえる。また金委員長の核開発に対して厳しい対応を、というアメリカからの圧力強化を払拭したいという思いが垣間見える。

◆アメリカによる救出行動
 アメリカ国務省は、北朝鮮の刑務所に収監された4人のアメリカ人との接触を求め、ノルウェーで極秘の協議を行うなど尽力してきた。その結果、ジョセフ・ユン国務省対北朝鮮政策特別代表が大学生のオットー・ワームビア氏を本国へ帰還させる任務を担うこととなった。ユン氏は、昏睡状態で生命の危機にあったワームビア氏を連れ戻すため、北朝鮮訪問を許可された。観光客として北朝鮮に入国したワームビア氏は、政治宣伝物を盗んだ疑いで逮捕され、15年の労働教化刑を言い渡された。彼はアメリカに帰国してわずか数日後に死亡した。ドナルド・トランプ大統領は、ワームビア氏の一件を受け、アメリカ人の安全が危惧されるという理由から、ほぼ全面的に北朝鮮への渡航を禁止した。

◆ロシアとの交流
 欧米ではあまり注目されなかったものの、北朝鮮外務省の崔善姫(チェ・ソンヒ)北米局長が9月にロシアを訪問し、10月にはモスクワで開かれた非核化会議に出席した。10月初旬にはロシアの政治代表団が、また両国の国交樹立69年にはロシア国営通信社TASSの社長がそれぞれ北朝鮮を訪問した。

◆その他の外交チャンネル
 アメリカ国務省によると、ワシントンと平壌には「ニューヨークチャンネル」として知られる外交ルートがある。しかし、緊張が高まっている今、それがどれほど活用されているのかは不明だ。 また、あまり公にはなっていないが、世界各国から少数の代表団が平壌へ派遣されており、北朝鮮の代表もまた海外派遣されている。

By ERIC TALMADGE, Tokyo (AP)
Translated by isshi via Conyac

Text by AP