米韓軍事演習:規模拡大、ミサイル破壊訓練「攻撃リハーサルのよう」とも

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 アメリカ空軍と韓国空軍による合同軍事演習が4日から韓国で始まった。ワシントン・ポスト紙によると演習は5日間続く予定で、230機以上の戦闘機のほか、アメリカ軍だけで1万2000人が参加する規模となる。北朝鮮のミサイル発射から1週間と間をおかずに軍事演習が行われることについて、アメリカの専門家らは、北朝鮮を刺激しかねないと警告している。

◆北のミサイルとは「無関係」
 ニューヨーク・タイムズ紙によると、今回の米韓合同演習にはF-35など、米国防総省が所有する最高レベルの戦闘機が参加するという。合同演習は毎年行われていることから、米軍は、北朝鮮によるミサイル発射を受けてのものではないと発表している。韓国側も、空軍の全天候での運用と昼夜を問わない活動能力の強化が目的としており、特段ミサイルを意識したコメントは行っていない。ただし、演習内容には北朝鮮の核ミサイル発射場の仮想攻撃演習などが含まれており、ミサイルへの対応が念頭にあることには間違いないようだ。

 ワシントン・ポスト紙によると、訓練にはB-1Bランサー爆撃機が投入されるなど、大規模な演習になるという。訓練では、開始早々、F-22ラプター戦闘機が着陸後に滑走路から動けなくなるなどのトラブルもあった模様だ。

◆規模拡大
 今回の演習について米軍は、例年の演習と同規模であることを強調している。しかし、ウォール・ストリート・ジャーナル紙(12月4日)は、6機のF-22、同じく6機のF-35Aと12機のF-35Bなど、新規に導入された戦闘機が目立つと述べる。アメリカの核問題の研究員は演習規模の明らかな拡大を指摘し、「防衛訓練ではなく攻撃のリハーサルのように見受けられる」とコメントしている。

 演習の規模に関して、ワシントン・ポスト紙も毎年行われている演習と同規模のものだという米軍の主張を伝えている。しかし前述のF-22など第5世代の戦闘機が新規導入されていることから、実質的に規模は拡大したものとの捉える見方が主流となっているようだ。演習には敵地への侵入訓練や模擬ミサイルの破壊訓練が含まれており、やはりミサイルを意識した内容とも受け止められる。

◆北朝鮮を刺激
 ワシントン・ポスト紙によると、アメリカのアナリストらは、今回の合同演習が北朝鮮を刺激しかねないと懸念しているようだ。ミサイル発射への報復と解釈されれば、意図しない衝突に至る可能性もあるとする。戦争の危機が日増しに高まっているという事実は、トランプ政権の国家安全保障アドバイザーも認めている。

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙では、ある防衛専門家が別の角度から演習の危険性を論じている。演習により事態がエスカレートすれば、北朝鮮に武器開発の口実を与えることになるという内容だ。韓国で安全保障を研究する別の教授によると、今回の演習がミサイルへの応酬だと北朝鮮に解釈される可能性は高いようだ。この教授は、戦争を回避するためには、アメリカか北朝鮮のどちらかが手を引かなければならないと警鐘を鳴らしている。

Text by 青葉やまと

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