焼かれる村、逃亡する人々、川に浮かぶ死体……SNSで伝わるロヒンギャの惨状

Hafiz Johari / Shutterstock.com

著: Rezwan(Global Voices Regional Editor for South Asia)

 2017年8月の最終週に発生した反政府グループとミャンマー治安部隊との衝突は、数千人もの少数派イスラム教徒「ロヒンギャ」が避難所を求めてバングラデシュに流入する事態に発展した。

 難民の急増をうけ、バングラデシュ当局は国境通過を制限。このため多くの難民が越境できず、国境付近に足止めされた。

 アラカン・ロヒンギャ救世軍(ARSA)のメンバーは、ラカイン州内の約30の警察署と軍基地に対し、大規模な組織的攻撃を行った。約1,000名の武装勢力が、マウンドーブティダウンの町に対する攻撃に加わった。これに対して軍側も反撃。2017年8月25日の1日だけで、少なくとも59名の武装勢力と12名の治安部隊員が死亡した。

 両陣営の戦闘は数日間続いた。ミャンマー軍は、テロ集団との戦いの一部と称して複数の村を襲撃し、家々に火を放った。またミャンマー政府は、少なくとも4,000人の非イスラム教徒の多数派住民を避難させた。一方で、多数のロヒンギャが自主的に避難した。

 この抗争は、ミャンマーに住むロヒンギャの、ただでさえ不安定な状況をさらに悪くしている。仏教徒が多数派を占めるミャンマーでは、政府はロヒンギャを自国の少数民族と認めず、市民権も否定している。政府当局と仏教ナショナリストたちは、ロヒンギャが何世紀にもわたってラカイン州内に居住してきた経緯を無視して、彼らを単なるバングラデシュからの不法移民と見なしている。

 ロヒンギャは、しばしば人種的、宗教的な嫌がらせを受けており、その名を無視して「ベンガル人」と称されることもある。彼らは「アジアで最も迫害されている少数民族」と言われている。

 ロヒンギャの大多数は暴力とは無縁だ。しかし昨年、「アラカン・ロヒンギャ救世軍」を名乗るグループが武装蜂起し、同年10月に複数の国境警察署を攻撃、9人の警官を殺害した。ミャンマー軍は数十名の「武装勢力」を殺害して報復。この勢力への取締りを強化する中で、不法な殺害事件、集団暴行、放火、幼児虐待など、軍の一部が関与した広範な人権侵害が報告された。

 8月末の武力衝突の発生以降、数千人のロヒンギャが村々を脱出し、バングラデシュの国境付近に殺到した。国境のミャンマー側では銃撃音が聞かれた。あるロヒンギャのフェイスブックページによると、ミャンマー軍はマウンドー北部で空からの攻撃を行い、ヘリコプターから住民を射撃した。ソーシャルメディア上では、焼かれる村、逃亡するロヒンギャ難民、川に浮かぶ死体などを映したいくつものビデオが出回っている

 一方、ミャンマー市民の間では、暴力に脅かされるラカイン地方の多数派住民を心配する声が上がっている。中にはさらに一歩踏み込み、軍や警察拠点への攻撃に対してロヒンギャのコミュニティ全体を非難する声もあった。

 ロヒンギャ迫害を止められないことに関し、ミャンマーの国家顧問で政府与党を率いるノーベル賞受賞者のアウンサン・スーチー氏に非難が集中している。

 それに対し、スーチー氏側は、国際援助NGOのメンバーが危険な武装勢力を支援していると非難した。報道によると、スーチー政権は国際援助団体とメディアを公然と批判し、ラカイン州への彼らのアクセスを制限しようとしている。それに伴い、複数のNGO関係者がすでにこの地を離れたと見られる。

 ヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア担当ディレクター、フィル・ロバートソン氏は、自身のツイッタ―上で、スーチー氏が出した援助団体に対する非難声明を強く批判した:

◆40万のロヒンギャが住むバングラデシュは、難民支援を放棄し始めている
 バングラデシュは、ロヒンギャ難民に対して繰り返し入国許可を出してきた唯一の国である。難民たちは仮設キャンプで保護され、バングラデュ当局や地元住民から援助や寄付を受けて暮らしている。世界食糧計画と複数の地元NGOが、食糧と緊急医療支援の提供を確約している。

 しかし、8月26日にバングラデシュ政府は、「我々はすでに40万のロヒンギャを受け入れており、ミャンマーからのこれ以上の難民の受け入れは許可できない」と宣言。「バングラデュは人口過剰で、自国の市民向けの社会保障さえもほとんど整備できていない現状だ。簡単に言ってしまえば、いつまでも難民を養える立場にない」という見解を示した。また、多数の難民の流入により、すでに社会的、経済的、環境的に大きな問題が起きていることも付け加えた。

 バングラデシュ政府は、数百名のロヒンギャをミャンマー側に押し戻す対応をとり始め、彼らをさらなる危険にさらした。

 バングラデュの日刊紙「プロトム・アロ」のジャーナリスト、ファルク・ワシフ氏は、難民たちを安直に批判せず、問題の包括的な解決を求めるべきだとアピールした:

我々は、それがロヒンギャであれ先住民グループであれ、暴力の被害者を責めることはせず、問題の根本を見つめる必要がある。ミャンマーの民主主義は依然として未成熟で、人種差別を煽る極端なナショナリズムが幅をきかせている。これこそが、国境地帯から伝わってくる悪いニュースの元凶だ。

This article was originally published on Global Voices. Read the original article.
Translated by Conyac

Text by Global Voices

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