マレーシア高速鉄道、日本が受注の可能性高まる 有力の中国が断念か

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 2026年開業を目指すマレーシアのクアラルンプールとシンガポールを結ぶ高速鉄道の建設をめぐり、各国の受注競争が激しくなっている。高速鉄道受注は、近年マレーシアに多額の投資をしている中国企業が有利と見られてきたが、ここに来て日本が受注する可能性も高まってきた。

◆疑惑の1MDB。負債の穴埋めを中国に頼る
 クアラルンプールの高速鉄道駅は、再開発プロジェクト「バンダー・マレーシア」で整備される地区に作られる予定だ。「バンダー・マレーシア」は、軍の空港跡地を高級住宅街とオフィス街として開発する計画で、もともと国営投資会社「1MDB」が手掛けていた。「1MDB」は、ナジブ首相がマレーシア経済の発展を目的に創設したが、大規模な腐敗の温床だったと見られており、汚職疑惑は首相自身にも及んでいる。ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)によると、国内での調査は打ち切られて不正はなかったと結論づけられたが、アメリカ、スイス、シンガポールなど海外ではまだ調査が継続中だ。

 2015年12月に、「1MDB」は「バンダー・マレーシア」の株式の60%を中国中鉄と地元企業の企業連合(ICSB)に74億リンギット(約1920億円)で売却すると発表した。WSJによれば、当時「1MDB」には130億ドル(約1.5兆円)以上の負債があり、借金返済のための政府による資産売却だった。中国側としては、再開発事業に投資することで高速鉄道の受注を有利にする狙いがあったと、フィナンシャル・タイムズ紙(FT)は伝えている。ところが今年5月3日に、「バンダー・マレーシア」を手掛ける財務省の子会社、TRXシティは、ICSBが「支払い義務を果たさなかった」ため、取引が失効したと発表した(FT)。

Text by 山川 真智子