ヒラリー氏“学資ローンを抱える気持ち、絵文字で教えて” 若者はポカーン…!?
アメリカでは近年、ミレニアル世代の多くが多額の返済を要する学資ローンを抱えており、以前から社会問題化している。ミレニアル世代とは1982年から2000年の間に生まれたアメリカ人の若年層のことで、その数8310万人(アメリカ合衆国国勢調査局調べ)と、ベビーブーマー世代人口を上回る。来秋に控えた2016年アメリカ大統領選挙に向けて、ミレニアル世代の投票行動を巡って各候補がしのぎを削るであろうことは容易に予想される。
◆ミレニアル世代へのリーチアウトを試みるクリントン候補
今回3500億ドル規模のcollege affordability plan (大学進学支援計画)を打ち出した民主党の大統領候補ヒラリー・クリントン元国務長官はソーシャルメディアキャンペーンの一環として、自身のツイッターで「How does your student loan debt make you feel? Tell us in 3 emojis or less.」(「抱えている学資ローンに関してどう感じる?3絵文字以下で教えて」)とフォロワーたちに返信を呼びかけた(通常この種のキャンペーンにはハッシュタグ(#とそれに続く文字列)を使用することが多いが、今回は使われていない)。
◆クリントン候補のツィートへの一部の反感
クリントン氏の狙い通り絵文字で不満をぶちまけた人々がいた一方、実際に20万ドル(約2,500万円)以上の学資ローンの債務を抱えた若者をはじめとした一部は、深刻な社会問題を扱う方法として絵文字は不適切と感じたようだ。「子供の友達の前でヒップに振る舞おうとしているようで痛々しい」「地球温暖化問題もEmoji三文字で表せるというのか?」といったリプライ(返信)もあった。国務長官時代の私用メールアドレス問題に引っ掛けて、「How does finally handing over your server to federal investigators make you feel?」(「自分のサーバーをとうとう連邦捜査官に明け渡したことについてどう感じる?3絵文字以下で教えて」)という痛烈な返しを行ったツィッターユーザー(@Bencjacobs、2015年8月13日のツイート)もいた。
◆今後の大統領選への影響は
実際に数千ユーザーが掲題のツィートに返信したので、同氏のアジェンダへ人々の関心が集まった。その結果、人々がこの問題を議論の対象にしたわけだ。クリントン氏の呼びかけは、ソーシャルメディアでのエンゲージメントとして特段の予算を必要としなかった、という点では全くの失敗ではなかったと言える。ただ、一部のミレニアル世代に否定的に受け取られたので、選挙活動の行方にこれがどう影響するかは予断を許さない。彼女が国務長官だった頃の「電子メール」問題は一段落したようだが、一方で、今回の「Emoji問題」もあり、「クリントン候補は夫のビル・クリントン元大統領が備えていたpolitical gift(政治家としての才能)を残念ながら持っていない」とする識者の声も、今回のEmoji問題以前から聞かれた。