ソニー・サイバー攻撃に北朝鮮が関与か…米国、いつ公式発表?海外報道白熱

 米ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントは17日、映画『ザ・インタビュー』の公開を中止すると発表した。この映画は、北朝鮮の金正恩第1書記の暗殺をテーマとしたコメディーで、25日からの公開が予定されていた。

◆北朝鮮が関与したサイバー攻撃と断定
 ソニー・ピクチャーズは、先月24日に大規模なサイバー攻撃を受け、システムダウンに追い込まれたほか、大量の内部資料を盗まれ、ネットに漏えいされてしまっている。犯人側は『ザ・インタビュー』の公開を中止するよう同社を脅迫していた。

 手口や使用されたツールなどから、北朝鮮の関与が疑われていた。ニューヨーク・タイムズ紙(NYT紙)によると、アメリカの情報機関は17日、今回の攻撃に北朝鮮が「中心的に関わっていた」と断定したという。証拠などの詳細については、明らかにされていない。一両日中に公式発表が行われるものと見られている。

 アーネスト米大統領報道官は18日の定例会見で、「深刻な国家安全保障上の問題だ。洗練された実行者が悪意ある破壊的行為を行った証拠がある」と述べたという(毎日新聞)。まだ北朝鮮の関与を公式に述べてはいない。

◆公開中止はソニー・ピクチャーズにとってさらに打撃?
 ソニー・ピクチャーズはこの映画について、劇場公開を取りやめるほか、今後、オンデマンドでも公開の予定はないと、広報を通じて17日発表した。ロサンゼルス・タイムズ紙(LA紙)が伝えた。この決定はソニー・ピクチャーズにとって大きな打撃となる、と同紙は語る。

 NYT紙によると、この映画の製作費は4400万ドル(約52億円)に上る(一部は投資ファンドが出資)。さらに、ソニー・ピクチャーズはこの映画の宣伝に少なくとも3500万ドル(約41億円)を費やしているという。

 専門家によると、同社の被害額は1億ドル(約120億円)に達する可能性もあるとされていた。今回の公開中止の決定によって、被害規模はさらに拡大するかもしれない。

◆映画館への脅迫。ネット攻撃から物理的なテロ攻撃に?
 ソニー・ピクチャーズに対する脅迫に加え、犯人側は16日、同映画を上映する映画館に対して、物理的なテロ攻撃を行うと脅迫するメールを報道機関に送り付けた。LA紙はその文面を伝えている。

「われわれは『ザ・インタビュー』が、先行上映を含め、上映されるまさにその時と場所で、お前たちにはっきりと示そう、(金書記暗殺という)テロに面白さを求める輩に、どれほどむごい運命が定められているかを」

 またNYT紙によると、「2001年9月11日を思い出せ」との文面もあったとのことだ。

 この脅迫を受けて、ソニー・ピクチャーズが公開中止を決定する以前に、米映画館チェーンの主要4社は上映取りやめを決定していた。LA紙によると、全米映画館オーナー協会の緊急会合で、ソニー・ピクチャーズ側は映画館オーナーに対し、上映を取りやめても契約違反を問わないと伝えていたという。

 各社は、上映取りやめを伝える声明で、顧客と従業員の安全確保が最重要、との趣旨の説明を行っている。NYT紙はこれに付け加えて、シネコンの運営会社は、入っているショッピングモールからの圧力にかんがみて、上映中止の決定を行った、と伝える。クリスマス商戦の最終日に、客足が引いてしまうのを懸念してのことだ。また、ソニー・ピクチャーズ以外の映画会社からも、映画館側に働きかけがあった模様だ。

◆親会社のソニーは沈黙を保つ。距離を置くという安全策か
 ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ紙)は、今回の事件の一連の流れを踏まえ、親会社の日本のソニーと、米ソニー・ピクチャーズの関係について、改めて考察している。同紙が注目したのは、ソニー・ピクチャーズが、親会社からほとんど口出しされることなく、独自の判断で経営を行っているという点だ。ソニーの元幹部によると、本社の人間は、ソニー・ピクチャーズを完全に独立体と考えているという。

 ソニーの広報担当者が18日語ったところによると、今回のソニー・ピクチャーズの公開中止の判断についても、ソニーは後から知らされたそうだ。ソニーはソニー・ピクチャーズが直面している問題について、いまだ声明を発表しておらず、また表立った対応策も取っていない。傍観の構えだ、とWSJ紙は伝えている。

Text by NewSphere 編集部