朴政権の日本批判、「大衆迎合」「不合理」と海外メディアが批判…勝者は中国に
韓国政府は1日、竹島に建設を予定していた避難施設「独島入島支援センター」の建設を「保留」した。これが日本に配慮した結果だと受け止められ、韓国内の政界やメディアから非難の声が上がっている。また、このタイミングで、韓国のこれまでの「ジャパン・バッシング」を批判する論説が、複数の海外メディアに掲載されている。
◆実態は日本に配慮した「中止」だと批判
中央日報などの韓国メディアによれば、建設計画の撤回は、1日の関係閣僚会議で決まった。6日に公表された資料によれば、安全管理、環境、景観などの点で検討すべき課題が残ったため、建設を保留することにしたという。
この「保留」という表現に対し、朝鮮日報政治部のアン・ジュンホ記者は、コラムで「(建設の)撤回そのものも問題だが、その後の政府のあいまいな対応が問題をさらに大きくしている」と批判している。
同記者は、政府発表の公式な理由は「事実とは異なる」とし、実際は外交部(外務省)が「支援センター建設は日本との外交摩擦を招く」などとして、日本側に配慮した事実上の中止だと主張。それを伏せてあくまで「保留」とする政府を、「納得しがたい言い訳を並び立てるばかりでは、国民からの信頼は一層遠のく」と強く批判している。
一方、中央日報は、政府が決定に至った内幕を明らかにしないのは、「領有権強化」と「国際紛争化の可能性」の間のジレンマのためだと記す。同紙は、日本が施設建設による環境汚染などを理由に国際海洋法裁判所(ITLOS)に提訴すれば、日本の思惑通りに竹島の領有権問題が国際紛争化する恐れがあると分析。「保留」はそれを避けるための戦略だと、一定の理解を示しているようだ。
◆韓国の反日感情は「自国を北京の搾取に晒す」
今回の動きは、韓国の対日姿勢の軟化を示すものなのか?オーストラリアのwebメディア『ビジネス・スペクテイター』は5日付で、韓国のジャパン・バッシングは、戦略的な代償を伴うという記事を掲載している。
記事によれば、数週間前にシンガポールで開かれた会合で、ある韓国高官が筆者のジョン・リー記者に「韓国は中国がどれだけ核武装しようが北朝鮮が核開発を進めようが、日本が核保有国にならない限りは気にも止めない」と、自嘲的に発言したという。リー記者は、目の前の脅威である中国と北朝鮮よりも日本に敵意を燃やすメンタリティを「不合理な国粋主義的な感情」と表現。それによって「勝者」となるのは中国と北朝鮮だと記す。
また、昨年、南スーダンで平和維持活動をしていた韓国軍が自衛隊から提供された弾薬を国民の非難を受けて返却した問題を取り上げ、「これによって、韓国の一般人の中では、自国の部隊に十分な弾薬を与える要求よりも日本への敵意の方が大きいという事が証明された」と皮肉を込める。
そして、自国のハルビン駅に韓国で抗日活動の英雄とされる安重根(アン・ジュングン)の記念館を作ったように、中国は韓国を引き入れて日米韓の同盟に「楔を打ち込もうとしている」と指摘。「(韓国は)日本をバッシングすることで一時的に歴史的な痛みを癒やすことができるかもしれない。しかし、それは自国を北京の搾取に晒すことにつながる」と警告している。
◆印研究者「朴政権は袋小路に向かっている」
デリー大学の東アジア研究家、サンディップ・ミシュラ助教授も、オピニオンサイト『ユーラシア・レビュー』で、朴槿恵(パク・クネ)政権の外交政策に疑問を投げかけている。
同助教授は、朴政権は一見巧みに軍事的パートーナーのアメリカと経済的パートーナーの中国とのバランスを取った「二面外交」を展開しているように見えるが、「結果的には前政権と同じ道を同じゴールに向かって歩んでいる」としている。そのゴールとは、北朝鮮問題を始めとする韓国の外交課題が何一つ進展しない「袋小路」だという。
また、朴大統領が再三にわたる安倍首相からの2者会談の要請を断っていることについて、「そのジェスチャーは韓国内の大衆の支持を得るのには有効かも知れない。しかし、外交面では戦略的な態度だとは言えない」と批判。『ビジネス・スペクテイター』のリー記者も同様に、「大衆迎合主義は韓国の戦略的利益に資することはない」と述べている。
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