チーズで痛風か、権力闘争か? 金正恩が姿見せぬ理由、海外メディア分析

 北朝鮮の金正恩第1書記が、9月3日の平壌でのコンサートに出席して以来、公の席に姿を見せていない。25日の最高人民会議も欠席した。これは同書記が政権の座についてから初めてのことである。以前から健康問題を抱えていると報道されてきたが、これが悪化したのではないかとの憶測もある。

【不摂生な食事により健康状態が悪化か】
 英デイリー・メール紙、米ワシントン・ポスト紙は、金正恩第1書記はスイス産のエメンタールチーズが大好物で、大量に輸入している、と報じている。以前から片足を引きずる姿がメディアで報道されていたが、最近になり、このような暴飲暴食が原因で急激に体重が増加、急激に健康状態が悪化したのではないかとの見方である。

 朝鮮日報では、北朝鮮に詳しい消息筋によるものとして、「金第1書記は高尿酸血症、高脂血症、肥満などを伴う痛風に苦しんできた。最近になり体調管理をせず無理に活動したため、これが悪化したのではないか」との見方を示している。また同紙は、北朝鮮は治療対策を立てるため医師を欧州に派遣したが症状が悪化、欧州の医療関係者が訪朝したと思われると報じている。

【体調悪化の真意を巡る報道】
 金第1書記の急激な体重増加と体調悪化は、不摂生な食事と体調管理の悪さだけが原因なのであろうか。デイリー・メール紙は、別の推測を報じている:「金正恩の体重増加は、自分を祖父・金日成主席に似せるために、故意に行っているものである。金日成主席は死後20年たった今でも、永遠の国家主席として崇拝されている」。ブラックジョークと一蹴できないのが怖いところだ。

 また、ワシントン・ポスト紙は、早稲田大学国際教養学部の重村智計教授(北朝鮮など東アジア専門)のコメントを紹介している。同氏は、「姿を見せないのは、北朝鮮軍内の権力闘争が原因である。金正恩第1書記の権力基盤がいまだに不安定であることを示すものだ」と語っている。

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Text by NewSphere 編集部