“日本は軍事的脅威”韓国人の約半数が回答 日本の対韓感情も急速悪化

 韓国のロッテホテルは10日、在韓日本大使館が主催する自衛隊発足の記念行事を中止すると大使館側に伝えた。ホテル側の説明では、国民感情に配慮しての決定だという。

 日韓の国民は現在、相互にどのような感情を抱いているのか。日本の非営利団体「言論NPO」と韓国の民間シンクタンク「東アジア研究院(EAI)」が10日、共同で実施した「第2回日韓共同世論調査」の結果を発表した。

【韓国国内で自衛隊発足記念行事開催】
 韓国の日本大使館は、自衛隊発足60周年記念行事を11日にソウルのロッテホテルで行う予定だった。ホテル側は、「行事に対する正確な確認をせず業務を進め、国民の皆さんにご心配をお掛けした」(朝鮮日報)と国内向けに謝罪するコメントを出した。

 朝鮮日報によると、大使館は韓国の要人など約500人に招待状を送ったが、大多数は反日感情などを意識し、参加しない意向を示していたようだ。一方、読売新聞は、約200人が参加を予定していたと報じている。

 大使館は毎年、自衛隊発足日の7月1日ごろに記念行事を行ってきたが、今年は特に60年という節目であり、様々な行事で通常よりも盛大に祝う計画だという(コリア・ヘラルド紙)。

 中止となった行事については、日本大使公邸で開かれる。

【日韓戦争への不安】
 「第2回日韓共同世論調査」は、日本側は18歳以上を、韓国は19歳以上を対象に5~6月に実施し、それぞれ約1000人から回答を得た。

 相手国の印象について「良くない」「どちらかといえば良くない」の回答を合わせると日本では54.4%で昨年よりも17.1ポイント上昇。韓国は5.7ポイント改善したものの70.9%と高い水準だった。

 朝鮮日報は、日本は北朝鮮に次ぐ「軍事的脅威」だとの結果を取り上げている。調査では、相手国の社会・政治の傾向について、韓国では53.1%が日本を「軍国主義」、日本では44.8%が韓国を「民族主義」と認識。また、日韓間で軍事紛争が起きる可能性については、日本では「数年以内に」と「将来的に」を合わせて9.2%だったのに対し、韓国では両回答を合わせて40.8%に上った。産経新聞も、この結果を取り上げている。

 また朝日新聞は、対韓感情が悪化している要因として、歴史問題や竹島問題の影響を挙げている。

 日韓国民間の感情対立の背景に、両国のメディア報道の問題があるか、という質問に対して、日本では62.1%、韓国では63.6%と、それぞれ6割を超える人が、「メディア報道の影響はかなり大きい」との回答結果だった。

【個人の情報力が重要】
 言論NPO代表の工藤泰志氏は同団体のHPで、「この調査は政府間の対立の正当性を証明するために行っているのではない。両国の国民が冷静に今の日韓両国や相手国の状況を分析し、あくまでも自分の問題として向かい合うための素材を提供することを目的している」と調査の意義を説明している。

 同氏は、日韓相互の国民感情がメディアに大きく左右されている現実を認めたうえで、「問題はメディア報道だけではなく、相手国に対する認識形成をメディア報道に依存する構造である」と、個々が自身で情報を収集し判断する努力が必要だと述べた。

 相手国に直接の交流のチャネルを持ち、情報源が多様化している両国の有識者調査結果では、相手国に対する印象に関する質問で、日本では41.7%、韓国では51.7%がそれぞれ相手国に「良い印象を」持っていると回答しているなど、一般世論と逆の結果が出ている。

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Text by NewSphere 編集部