中国接近の韓国、最大の課題は「米軍ミサイル防衛システム配備」 習・朴首脳会談の行方に海外注目

ミサイル

 3日、中国の習近平国家主席が韓国に到着した。中国の国家主席が就任後、伝統的な友好国である北朝鮮より先に韓国を訪問するのは初めてである。なお、朴槿恵大統領は昨年訪中している。

【なぜ北朝鮮より先に】
 CNNは「これは明らかに金正恩氏に対する拒絶である」という、ある大学教授の見方を伝える。

 フィナンシャル・タイムズ紙は、これは中韓両国の経済関係を反映するものであり、北朝鮮が核開発をし続け、中国の経済改革を真似たものの失敗に終わったことに中国が不満を抱いているからだ、というアナリストの見方を伝える。各紙によれば、中韓の貿易高は昨年2700億ドルに達したという。

 ニューヨーク・タイムズ紙は、韓国の元外交安保首席である千英宇(チョン・ヨンウ)氏の言葉を伝える。

「習主席は何としても日韓関係が悪化しているこの機を逃す訳にはいかない。中国としては、韓国を日米からできるだけ引き離したいのだ」

【韓国の思惑は】
 アメリカの外交官で、日中韓に対する外交・経済・セキュリティ政策を専門とするエヴァンズ・リヴィア氏は、韓国は中国に対し、北朝鮮の核開発計画を止めるよう圧力をかけるよう依頼するかもしれない、と見ている(ニューヨーク・タイムズ紙)。

 また同紙は、中韓首脳会談で意見が一致しない点が1つあるかも知れないという。それはアメリカが最近提案した、北朝鮮に対抗するためのミサイル防衛システム(THAAD)の導入である。

 劉振民・中国外交部副部長は、中国としてはTHAADの韓国への導入は反対だという。「米韓は同盟関係にあるが、韓国はアメリカの要求に慎重に対応すべきである。韓国も中国同様、安定を欲する国だからだ」と述べている。

 一方韓国は、金寛鎮(キム・グァンジン)国防部長官が6月18日の国会答弁で、THAAD配備について、「在韓米軍が戦力化する分には関係ない」と答弁し、米中両国を刺激しないような態度に終始している。

 また、ニューヨーク・タイムズ紙は、最近、中央日報と峨山政策研究院が行った世論調査の結果を紹介している。

 これによれば、韓中関係が良くなったと見る韓国人が増えた一方、一番人気のある外国は戦争時に大事な同盟国アメリカであり、中国の軍事的な膨張が韓国にとって大きな威嚇だと認識する人が依然66.4%もいたという。

【北朝鮮は日本、ロシアとも接近】
 CNNは中韓接近で「北朝鮮は孤立感を深めるだろう」という、韓国にある峨山政策研究院所長の見方を伝える。北朝鮮は日本と交流を開始する一方で、ロシアとの貿易も始めている。

「中国への依存を減らそうとしているのではないか」

 東アジアの力学変化に世界が注目している。

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Text by NewSphere 編集部