“2人は親友”? プーチン大統領と習近平国家主席が急接近

プーチン大統領

 ウクライナ問題で孤立したイメージの強い、ロシアのプーチン大統領が、アジア相互協力信頼熟成会議(CICA)出席のため、上海を訪れた。同じく領土問題でアメリカや近隣諸国から批判されている中国の習近平国家主席は、プーチン大統領を大歓迎。お互いの思惑が一致し、中露の急接近が始まった、と海外メディアは報じている。

【中国主導、ロシアが後援の安保構築か】
 CICAは、アジアの平和と安全を促進するため、1992年にカザフスタンの提唱で作られた。24の加盟国を持ち、日本とアメリカはオブザーバーとなっている。

 韓国の中央日報は「これといった注目を浴びることはなかった」この会議に中国が力を入れるのは、習主席が「アジアに新たな安保秩序を提示する意志を見せているため」と説明する。

 朝鮮日報も、「中国が主導し、ロシアが後援するアジアの安全保障機構を構築し、米国の『アジア復帰』戦略に対抗する狙い」を持つと報じている。

 ブルームバーグは、習主席がCICAでスピーチし、「アジアの問題はアジア人で解決すべき」で、「地域の安全保障問題を支配しようと試みる、いかなる力にも反対する」と、暗にアメリカに警告したことを報じた。また、領土問題を巡る強引さで他国から批判を浴びる中国が、CICAのメンバーとの結束を強めていると指摘している。

【ロシアの中国シフトが加速?】
 タイム誌は、「最近友達が必要になったプーチン大統領。少なくとも一人は中国で見つけたようだ」と揶揄。習主席に「温かく歓迎」されたプーチン氏が、現在の中露関係が歴史上「最高レベル」に達した、と述べたことを報じた。

 ロシアの昨年の経済成長率は1.3%と低迷。新規投資と新しい輸出先を切に求めるプーチン氏にとって、中国はぴったりだと同誌は指摘する。

 ウクライナ危機が、ロシアの中国シフトを加速させた。もともとプーチン氏は、「ロシアの未来にアジアは最も重要な要素」としていたが、主要な貿易相手であるEUと仲たがいしてしまった今、中国へのシフトの緊急性を高めざるを得ない。

 常に天然資源を求めている中国側も、ロシアとの関係強化を拒む理由はない。すでに上海で行われた中露の会談後、ロシアが中国に天然ガスを供給するという声明も出されている。

【西側にはリスク】
 タイム誌は、もともと中露の間には冷戦時代のイデオロギーの分裂や国境紛争が残した不信感があるとしつつも、孤立した者同士が親密さを作り出すことで恩恵を得ようとしている、と分析。西側諸国には、それが大きな地政学的影響を持つことも指摘している。

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Text by NewSphere 編集部