猪木氏、北朝鮮で20年ぶりにレスリング外交 米誌、プロパガンダと報道

 北朝鮮国営の朝鮮中央通信は19日、平壌で8月下旬に国際プロレス大会が開催されると報じた。日本の元プロレスラー・アントニオ猪木参院議員と、北朝鮮の国際武道競技委員会委員長・張雄氏が共同主催するという。

 報道によると、日本やアメリカなどから世界的に有名なプロレスラーが参加し、「独立・平和・友情の理念に基づき」開催される予定だ。

 猪木氏の秘書は、参加レスラーは未定とし、「開催日が近づけば明らかになる」と語った。

【北朝鮮によるスポーツ振興重視路線の一環か】
 猪木氏がレスリング外交を行うのは初めてではない。1995年に平壌で開かれたプロレス大会「平和の祭典」では2日間で約38万人の観客を集め、アメリカの偉大なレスラー、リック・フレアーと対戦した。

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、金正恩第1書記がレスリングを好きかどうかはわからないが、8月のプロレス大会は最近の北朝鮮のスポーツ振興を重視する路線と合致すると報じた。

 ガーディアン紙は、猪木氏と北朝鮮の関係が深いのは、師匠である伝説のプロレスラー・力道山が北朝鮮出身のためだと報道。力道山の娘・金英淑氏が北朝鮮の元国家体育委員長・朴明哲氏と結婚していることに言及した。

【猪木氏主催の大会なら「勝者は事前に決まっている】
 リック・フレアー氏は自伝で、1995年の大会期間中に常に監視され、動揺した経験を綴っている。また、観客は一斉に声援を送り、「彼らは出席するよう命じられたような感じを受けた」という。同氏はこのとき、猪木氏に勝たせてお金を受け取ったとされている。

 フォーリン・ポリシー誌は、8月のプロレス大会が1995年のときのような大規模で絶妙に演出されたイベントならば、「政治宣伝の壮観なショーとなるだろう」と報じた。また、北朝鮮の非公式大使のようになっている猪木氏が主催するなら、「勝者は事前に決まっているだろう」と報じた。

【日本と北朝鮮の公式協議は今月26日から】
 一方ガーディアン紙は、日本と北朝鮮が緊張関係を改善しようとしている中での発表だと報じている。

 岸田文雄外務大臣は19日、北朝鮮との政府間協議を26~28日にスウェーデン・ストックホルムで開くと発表した。「日本政府は、1970年代後半から1980年代初期に起きた北朝鮮による日本人拉致事件についての議論を進展させたい」と語っている。

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Text by NewSphere 編集部