宇宙の軍事利用目指す中国、国営メディアは日本を“平和乱す”と批判 集団的自衛権行使容認の動きに対して

 安倍政権は、集団的自衛権行使容認を目指し、準備を進めている。有識者による「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)」の報告書は、5月半ばにも提出されると報じられており、政府はその後、閣議決定を目指している。しかし国会閉会の6月22日までに決定という当初の予定は、困難が予想されている。

【日本の集団的自衛権巡る動き】
 現在の法律では、米国軍が航海中に攻撃を受けても、日本の船が攻撃を受けない限り、援護射撃できない。また、外国で国際機関の日本人職員が人質に取られても、自衛隊を使い救出はできない。

 このような案件に関しては、世論も法整備が必要だと考えているようだ、と星条旗新聞は報じている。共同通信の1月の調査では、自衛隊による人質救出について、調査に応じた70%の人が賛成だったという。しかし、より広い範囲について問うと、集団的自衛権に賛成を示す数字が29%にまで落ち込む。

 安倍政権は、時間がかかり国会の3分の2以上の賛成が必要な改憲ではなく、その周辺の法律の再解釈で切り抜けようとしているようだ。しかしそのやり方も非難を受ける一因となっている、と星条旗新聞は指摘する。

 社会民主党の福島瑞穂副党首は、「憲法で違法あるいは不正とみなされていることが、どうやったら突然合法だということになるのか?」「安倍首相がやろうとしていることは、本質的には憲法の破壊だ」(星条旗新聞)と激しく非難している。

【中国メディア、日本は平和を乱すと批判】
 中国国営新華社通信は安倍政権の動きについて、注意深く計算された段取りで、日本は地域の厄介者として乱暴な態度を現した、と報じている。

 同通信は、日本が正義を訴える隣国の声にも耳を貸さず、アジアの平和をかき乱そうとしている、と非難。安倍晋三首相は、人気票を集めたいがために、戦争へ向かう言動を大きくしているのだ、としている。そして、過去への後悔と、未来への責任を正しく認識すること無しでは、日本は国際社会で孤立するだろう、と警告している。

【自衛隊は中国軍に質で優っている】
 動員力で日本を遥かに上回る世界最大規模の中国軍は、戦うにはまだ弱さがあると、AFP通信は報じている。

 2014 年国際戦略研究所(イギリス)の報告によると、2013年の中国の軍事予算は1122億ドルだったのに対し、日本は510億ドルだった。しかし、中国軍は「質の面では、最新技術の装備という点などで、韓国や日本に以前劣っている」と報告は評価している。

 アメリカは、約5万人の兵士を日本に配置している。軍事アナリストの小川和久氏は、「日本の自衛隊は中国に対して、アメリカ軍と共に対峙している。そのため、アメリカ軍の存在を抜きにして、日中それぞれの軍の能力を比較することは意味がない」(AFP)と分析している。

【中国は宇宙の軍事利用に前向き】
 一方、中国の習近平国家主席は14日、「新しいタイプの戦力」開発をすすめるため、中国空軍に宇宙空間の軍事力との統合を求めた、と中国日報が報じている。習主席の発言の詳細は報じられていないが、米国らに対抗しての動きという見方があるという。

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Text by NewSphere 編集部