韓国、無人機対策でレーダー導入を急遽検討 後手後手の対応を現地紙が批判

 韓国内で相次いで見つかった小型無人機に対し、政府は北朝鮮のものと中間調査結果を発表した。無人機は3月24日に坡州(パジュ)で、次週には黄海の白翎(ペンニョン)島、4月13日には首都ソウルから290キロ離れた三陟(サムチョク)で発見されていた。

 これに対し、北朝鮮は「でっち上げ」と関与を否定。さらに、韓国に共同調査の実施を提案した。韓国の聯合ニュースによると、韓国国防部は15日、「(韓国)国内の分裂を助長するための低レベルな心理戦にすぎない」と一蹴したという。

【非難の応酬を繰り返す北と南】
 機体の電池に北朝鮮特有の韓国語が記載されていたこと、無人機のエンジン性能、燃料タンクの大きさ、飛行時間と設計などから、無人機は北朝鮮のものとみられている。

 韓国軍は、アメリカの専門家と合同調査チームを立ち上げた。無人機に仕込まれていたサムスン製のメモリーチップを解読し、出発地点や飛行ルートを解析する予定だ。

 これに対し北朝鮮は、「韓国は反北朝鮮の思想を広めることに躍起になっていて、今や無人機の事件をでっち上げてまで相手を叩こうとしている」と非難(コリア・ヘラルド)。天安沈没事件の時と同じ「捏造」で、確たる証拠は見つかっていない、と反論している。なお天安沈没事件とは、2010年3月に韓国軍哨戒艇「天安」が魚雷攻撃を受け沈没、46人の乗組員が死亡した事件。北朝鮮は関与を否定している。

 韓国国防省のキム・ミンソク報道官は14日、「3月24日から韓国上空に侵入し墜落した3機の無人機は、北朝鮮によるものであることは誰の目にも明らかだろう。大韓民国を中傷する者に、この事実を否定する権利はない」(ウォール・ストリート・ジャーナル紙)と北朝鮮の主張をはねつけた。

【国内の批判にさらされる韓国軍】
 発見された無人機は稚拙な作りだが、韓国の空の防衛への不安を生じている、とウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じている。中央日報によると、韓国軍は無人機発見後、10億ウォン(約9790万円)以上もするイスラエル製の低高度探知レーダーを約10台導入する計画だという。さらに、対空砲火とその他の探知装備の導入に200億ウォン(約19億5800万円)を使う予定だ、と伝えている。

 しかし、このような無人機はその大きさと稚拙な作りのために、かえって探知が難しいようだ。

 朝鮮日報はコラムで、韓国軍の対策が不十分だと批判している。最初の1機が発見されてから9日も経ってから、北朝鮮によるとの発表がされた。遅れの原因は、これまでもこのような危機が何度かあったにも関わらず、軍と諜報部は対応策を講じてこなかったからだという。このため、文字通りテープで貼り合わせて作られた稚拙な無人機が、韓国国内に一種の混乱を招く結果となった、としている。同紙は、無人機がすぐに化学兵器などの大量破壊兵器を積めるまで開発がすすむだろうと憂慮し、軍の早急な対策を求めている。

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Text by NewSphere 編集部