中国経済、年初の減速は“いつものこと“? 後半に景気刺激策を行うかが焦点との声

 中国国家統計局は13日、1月から2月までの鉱工業生産(旧正月による変動を軽減するため2ヶ月分を合算)が前年同期比8.6%増で、12月の9.7%や予測の9.5%を下回り、2009年8月以来の低さになったと発表した。昨年は前年比26.3%増だった不動産販売も、3.7%減となった。

 フィナンシャル・タイムズ紙は、固定資産投資と小売売上高も落ち込み、中国経済のほぼすべての部分が「2014年の退屈なスタートを切った」と報じている。

【減速は想定内、ただしどこで踏みとどまれるか】
 しかし同紙は、中国経済が年初にパッとせず、あとでそれを補う政策が出されて年後半に回復するというのは、「もはや中国経済のルーチンのようなもの」で、問題はその後半がどうなるかだと指摘する。ただし同紙は、中国政府は従来より低い成長率に耐える覚悟を始めた、との論調だ。

 同紙によると中国の景気減速は大部分、債務の急増(2013年末でGDPの180%とも215%とも言われる)を受けて、金融引き締め政策を採った結果だという。政府は同日閉幕した人民代表大会で、昨年と同じ7.5%の成長目標を決定したが、李克強首相は多少の許容範囲があると認めている(なお、昨年の結果としては7.7%を達成できたとされている)。また先週、政府は不渡りを出した太陽光パネル大手、上海超日太陽能科技を見捨てる決定を下し、「中国の国内債券市場における近代史上初の」デフォルト発生となった。

 しかし専門家によると、中国政府はまだ7%以下の四半期成長率を受け入れる準備はできておらず、「現在の減速ペースは政府の最低ラインに挑戦するもの」であるという。

【アテにならない中国の統計】
 エコノミスト誌は、中国経済が過熱しているのか冷え込んでいるのか、各種の兆候が矛盾すると提起する。そしてコロンビア大の研究によると、中国公式のインフレ率統計は、実際よりも絶対値が小さく出ていると疑われるとのことだ。

 研究グループは、エンゲル係数理論(豊かな世帯ほど食費の割合が減る)をもとに、各年における中国世帯の生活負担を再分析した。得られた結果は公式のインフレ増減傾向と一致しつつも、公式より振れ幅が大きかった。例えば2007年と2008年、公式統計では4.8%および5.9%とされたインフレは実際には20%と18%に達しており、病気の発生による豚肉高騰が原因だろうという。グループによると公式値の不正確は、物価追跡において新製品の扱いが適切でないためらしい。

【中国経済こそ米国経済の鍵を握る】
 またウォール・ストリート・ジャーナル紙は、ウクライナ情勢よりも中国経済の減速こそ米国経済に影響するだろうという、エコノミスト調査結果を報じた。米国経済への最大影響要因として、49エコノミスト中の27人が中国経済の減速を挙げたのに対し、ウクライナ情勢は8人であった。

 ただし記事は、ウクライナ情勢緊迫に伴う「米露経済冷戦」的な制裁合戦に、その中国経済と欧州経済こそが最も脆弱だという見方を伝えている。また、米国の経済見通しは現在安定しており、回答者の平均としてはむしろ、今年新しい不況が始まる確率12%に対し、実質GDPが3%を超える成長をする可能性が38%あるという。

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Text by NewSphere 編集部