ショーン・ペンら米セレブ、イルカ漁の中止訴え TPPによる圧力をオバマ大統領に求める

 アメリカの活動家とショーン・ペンやグウィネス・パルトロウなどの有名人が、バラク・オバマ大統領に、日本がイルカ漁をやめるまで環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に署名しないよう書簡で求めた。

 書簡には、和歌山県太地町で2013年の9月1日の漁解禁以降、600頭以上のイルカが殺された、と書かれている。1月には数十人の漁師によって、1日で250頭のイルカが入江に追い込まれたという。そのうち約40頭は食肉として殺され、少なくとも50頭は水族館などに売られ、残りは海に返されたとしている。

【米国が日本に圧力をかけるよう求める】
 手紙の発起人は、ランDMC、ビースティ・ボーイズを世に送り出したデフ・ジャム・レコーディングスの創始者の一人、ラッセル・シモンズ氏だ。英インディペンデント紙によると、手紙は2月5日付で、駐日米大使キャロライン・ケネディ氏に宛てたものだという。オバマ大統領が日本とのTPPに署名しないよう、イルカ漁をやめるまで求める内容だ。ケネディ氏は1月18日、ツイッター上でイルカ漁に反対する発言をしていた。

 手紙では、「ケネディ大使、そしてアメリカ政府、世界があなたがたの行動を注視している。日本政府にこの残虐行為を直ちに禁じるための明確な発言をするよう求める」として、アメリカが、日本のイルカ漁禁止に動くよう求めている。

【経済的利益優先か環境保護か】
 TPPは世界のGDPの約40%を占める12ヶ国が話し合いに参加している。

 手紙の中でシモンズ氏らは、イルカ漁の禁止が「自国の利益にかなう」として、TPPにその主張を盛り込むよう過去2年間努力してきたことを訴えている。サロン・ドットコムによると、オバマ政権は、TPPに関して各国との早期合意を取り付けるため、環境保護の問題への対応がおろそかでは、と非難の声があがっているという。

 シモンズ氏は、TPPに反対ではなく、イルカ漁の禁止を話し合いの中心に置くべきとの考えであることを強調している。同氏は「人が持つ憐れみの心は、経済的利益と同じくらい尊重されるべきじゃないか?」と問いかけている。

【なぜイルカだけを保護するのか】
 これを伝えるハフィントン・ポスト(米国版)の記事には、賛否両論の意見が寄せられている。

 まず、下記のように、知的動物とされるイルカの保護を求める意見がみられた。

・イルカへの野蛮な虐待と殺害は、すぐに止めるべき。イルカは思考する動物で、言葉を理解し人間と同じようにコミュニケーションの能力がある。知的な生き物として守ってあげないといけない。

・太地町での漁は、例えようもなく残酷だ。日本人の多くはその残虐性をよく知らないんだ。

 また、イルカ漁への抗議に対して、疑問を呈する意見もみられた。

・一体どのくらいの数の牛や豚、羊、鶏を自分たちが殺しているか分かってるのか??
綺麗で可愛い生き物が殺される時に限って、みんな大騒ぎするってことか。

・ノルウェーでもっと多くのイルカが殺されるのには目をつぶるのに、日本はいつでも叩かれる。

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Text by NewSphere 編集部