中国の“防空識別圏”、断固拒否は日本だけか 韓国も通知へ方針転換

 韓国は12日、大韓航空やアシアナ航空など国内の航空会社に、中国防空識別圏(ADIZ)通過時の中国への報告を認める方針転換を発表した。

 中国は、「中国が領土領空のセキュリティを維持するのに役立つだけでなく、関連空域でのフライトの安全と秩序に資する」などと歓迎した。

【アメリカに倣った韓国の措置】
 韓国国土海洋部(運輸省)は、航空会社が望むなら中国側要求への準拠は自由である、と声明した。韓国当局は方針転換について、安全性への懸念を挙げ、韓国のADIZ拡大で緊張が高まっていたことを指摘した、とフィナンシャル・タイムズ紙は報じている。(ただし、韓国ADIZ拡大について、各紙はすでに、中国と違い慎重な準備が奏功して、関係各国からの反発は少なかったと報じてもいる。)

 韓国の専門家は「これは屈服ではありません」「個々の企業の活動は国際関係についてのルールには影響しません」などと述べ、中国ADIZを認めはしないが、航空会社がADIZに準拠することを許しはするという、アメリカの先例に倣ったものだと指摘している。

【独りでも断固拒否の日本】
 航空会社に中国側の通知要求を無視させているのは日本だけとなった。日本航空や全日空は当初、要求に従う意向を示していたが、政府の圧力により撤回を強いられている。各紙は、米韓の動向に関わらず、日本がなおも同じ方針を貫く構えだと報じた。

 国土交通省は、中国政府はADIZが民間便には影響を与えないと言っているので、安全は保証されていると述べている。(ただし、この点について中国側の説明は一貫しておらず信用できないとの見方が、すでに報じられてもいる。)

 さらにインターナショナル・ビジネス・タイムズは、日韓合同の海軍救助演習が敢行されたことも伝えている。日本側からは艦艇2隻とヘリコプターが参加した。海上自衛隊によれば、演習自体は中国ADIZの発表前から計画されていたものであるが、ヘリコプターが中国ADIZを飛行したにも関わらず、中国側への通知は行われなかったという。

 安倍首相は「対話の扉は常に開いております」と述べつつ、中国ADIZを「日本は決して受け入れられません」との姿勢を改めて表明した。

Text by NewSphere 編集部