米紙「アメリカは慰安婦問題解決を促すべき」 日韓関係改善へ提言

 改善の糸口が見えない日韓関係に対し、アメリカの出方を海外紙が論じている。

【オバマ政権が掲げる「アジア最重視政策」に影響するとの懸念】
 アメリカ国内では、日韓関係の悪化は、オバマ政権の「アジアへの旋回(ピボット)」戦略を弱体化させるとの懸念が高まっているという。日韓の協力なしでは、アメリカは北朝鮮の核挑発や中国の台頭に対して効果的に対処できないと報じられている。

 ニューヨーク・タイムズ紙は、アメリカは3つの課題に焦点を当てた新たなアプローチを推進すべきと論じた。

 まず、日韓の国民は歴史や領土問題をそれほど注視していないことを知るべきと主張した。韓国の指導層は、日本と関係改善できないのは「国民の怒り」のためとしているが、それは明らかに間違っていると断じた。

 次に、日本の外交政策をより開かれたものにするよう後押しすべきと論じている。特に、集団的自衛権を巡る動きなどの安全保障政策について、特使を通じるなどして、韓国の理解を得るよう示唆している。

 最後に、「最大の懸念事項」である慰安婦問題を解決するよう、日本に働きかけるべきと主張している。

 フィナンシャル・タイムズ紙も、「アメリカはただの傍観者ではない」とのソウル大学教授の見解を掲載した。アメリカは1951年のサンフランシスコ平和条約において、竹島問題を未解決のまま放置していることなどを挙げている。

【日米韓3ヶ国同盟なしに、アメリカは世界的問題に対処できない】
 日米韓3ヶ国は6日、北朝鮮の核問題をめぐる局長級協議を開いている。アメリカ政府内では、問題はあるものの、米日韓は対北朝鮮政策で協力を続けているとの声もあるという。

 ニューヨーク・タイムズ紙は、3ヶ国が協力しなければ、アメリカは中国の台頭を建設的な方法で形づくることができず、さらに気候変動、国際開発、核セキュリティー、自由貿易などの世界的問題にうまく対処できないと指摘した。

【日韓関係悪化の背景にある歴史的因果】
 英エコノミスト誌は、「核武装の北朝鮮」と「中国の台頭」という同じ脅威に直面している日韓は、自然なパートナーであるべきと指摘した。

 同誌はまた、朴大統領の父・朴正煕元大統領が、日本の帝国陸軍で武勲を立てた軍事独裁者だったことから、現大統領が父親の遺産から自分を切り離して支持を広げようと、日本に強硬姿勢を取っているという見方に言及した。

Text by NewSphere 編集部