6ヶ国協議に向け、各国駆け引き 韓国報道は中国に期待

 アメリカ、韓国、日本の代表は6日、ワシントンで3者協議を行った。アメリカからグリン・デービース・北朝鮮担当特別代表、日本から伊原純一・外務省アジア大洋州局長、韓国から趙太庸(チョ・テヨン)・外務省朝鮮半島平和交渉本部長が出席した。

 協議では、6ヶ国(日、米、韓、中、露、北)協議の再開について話し合ったようだ。3氏は、北朝鮮の核開発を終わらせるという方針を共有し、合意したという。ただし今のところ、話し合いの詳細は明らかにされていない。

 6ヶ国協議は、2009年から中断されている。

【日米韓の取り組み】
 日・米・韓は、北朝鮮に協議再開の前に、完全な核放棄に向けて明確な行動を示すようにと要求してきた。同時に、国連の決議による国際的な経済制裁をすすめ、北朝鮮の孤立化を図ってきた、と米議会専門誌ナショナル・ジャーナルが報じている。

 6日の会談に出席した韓国の趙代表は、「北朝鮮が、核兵器保有は国としての強さを意味するのではなく、戦略的に負担になるのだ、と理解するように仕向けなければならない」と発言している。

 アメリカは北朝鮮に、協議再開の前提条件として、ウランの生産の中止や国際原子力機関(IAEA)の査察受け入れなどを求めている。

 しかし北朝鮮は、協議再開について、「前提条件なしで」と繰り返し要求。2月に3度目の核実験を実施するなど、核兵器を放棄する気はないようだとニューヨーク・タイムズ紙は報じている。自国が核保有国だと世界に知らしめ、国の第一命題として軍備拡大をすすめようとしている、と同紙は指摘している。

 これに対しアメリカは、中国が嫌う北東アジア地域のミサイル配備を強化、中国が北朝鮮に非核化の圧力をかけるよう急かしている。

【韓国報道は中国の取り組みに期待】
 中国は6ヶ国協議再開に向け外交努力を促進しているようだ、と韓国の聯合ニュースが報じている。

 中国外務省の洪磊報道官は、「非核化をすすめることと、朝鮮半島の平和と安定の維持は、すべての関係国共通の利益で、責務でもある」と述べたという。

 同メディアによると、中国は、北朝鮮が協議の場に戻ってきやすいよう、アメリカと韓国に条件の緩和を求めている。中国の武外務次官は先週、ワシントンを訪れ、北朝鮮が飲まなければならない条件についての中国政府の考えを米政府に示した。これまでよりも発展的な内容だったが、まだ賛同を得られていないようだ。

 洪氏は7日、「現在の状況下でも、関係国は知恵を絞り、できるだけ早期に6ヵ国協議を再開するべきだ」と述べた。

【協議再開の糸口は見つかるか】
 ニューヨーク・タイムズ紙は、アメリカの対北朝鮮元交渉担当者2人が最近、北朝鮮の代表が出席したベルリンとロンドンの会議に出席した、と報じている。また、またある元米政府関係者の、アメリカは強硬姿勢を崩すべきではないが、対話なしではより多くの核兵器の開発を進める結果になる、との意見を取り上げている。

 協議再開に向けた各方面の動きは、無駄が多く確実な成果にたどり着かないかもしれない。しかし、良い話し合いの糸口を見つける可能性はある、という専門家のコメントを同紙は報じている。

Text by NewSphere 編集部