朴大統領の“ブレない”性格が裏目? 対北包囲網乱す日韓に海外紙が懸念

 英BBCは4日、韓国の朴槿恵大統領がインタビューで、戦時中の「過ち」に対して日本が「謝罪」しない限り、首脳会談をしても意味がない、と語ったことを報じている。

 さらに朴大統領は、日韓関係をドイツ・フランス関係に例え、日本も欧州連合の統合過程をよく参考にしてみる必要がある、と語ったと中央日報が取り上げている。ドイツの戦後処理を引合いにだし、欧州諸国の支持を獲得しようとの思惑があるとみられる。

 北朝鮮の核問題に国際社会が取り組む中、日韓の不和が浮き彫りになっていることは問題だと海外メディアは懸念を示している。

 朴氏の大統領就任から8ヶ月が経つが、公式な日韓首脳会談は実現されていない。なお、韓国のアサン政策研究所が行った「日韓首脳会談の開催に関する世論調査」(8月30~9月1日)によると、支持58%、反対35%であったという。

【北朝鮮への対応 日本とは対照的!?】
 一方、朴大統領は北朝鮮に対して支援する用意がある、と仏フィガロ紙のインタビューに答えた。朝鮮半島の平和や南北関係の発展に必要ならば、金第1書記といつでも会うという。ただし、会談のための会談や、一回限りのイベントとしての会談は行うつもりはない、とも述べている。

 これまで南北首脳会談は2000年と2007年に行われた。ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、北朝鮮側が会談に応じる見返りに金銭を要求したとの疑惑がある。また、李明博前大統領は在任中、北朝鮮に首脳会談を打診したものの、実現しなかったという。

 英テレグラフ紙は、金大中元大統領の太陽政策(融和路線)と、李明博前大統領の強硬路線の中間といえる、「信頼外交」を進めていると報じた。

【朴政権 海外評価と国内世論】
 韓国の10月の月間輸出額は500億ドル超と好調であり、7-9月GDP(国内総生産)は前期比1.1%増となった。エコノミスト予想を上回る伸びではあるが、中国の台頭もあり今後も続くとは限らない、と英テレグラフ紙は報じている。

 同紙はまた、朴政権に対する3つの懸念を取り上げて紹介している。まずは、2012年大統領選挙スキャンダルだ。NIS(国家情報院)がネット上で、野党陣営の文在寅候補の誹謗中傷を組織的に行い、与党陣営が有利となるような世論操作等の選挙介入を行ったもよう。民主党も加わり、大規模デモまで行われたという。

 次に、朴政権の脆弱性を指摘。与野党の対立から、新政権発足時は朴大統領と首相しか決まっておらず、正常な国政運営ができない状況が続いていた。

 最後は年金問題。朴大統領は公約として掲げた老齢基礎年金増額の見直しについて、「(基礎年金を)高齢者の全員に支給できない結果となり申し訳ない」と謝罪した。保健福祉相は辞任に追い込まれている。

 同紙によると、これらは全て、朴大統領の、妥協や譲歩できない「性格」が裏目となっているのでは、と専門家は分析しているという。

Text by NewSphere 編集部