レイプ犯を暴露した男、アマゾンからクビに ハッカー疑惑の解雇は妥当か?

 昨年、オハイオ州のスチューベンビル高校の2人のフットボール部員が16歳の少女を暴行した事件を暴露したデリク・ロスタッター氏(26)が、ハッカー集団「アノニマス」とつながりがあるとして、アマゾンに解雇されたことを明かした。

 ロスタッター氏によると、「今月初め、ケンタッキー州ウィンチェスターの新しいアマゾンコールセンターで仕事を始めたが、自分がスチューベンビル事件との関連でFBIに家宅捜索されたことを上司が知り、解雇された」という。

 米連邦捜査局(FBI)は、スチューベンビル高校フットボールチームのファンサイト「RollRedRoll.com」とそのウエブマスターのメールアカウントのハッキングにロスタッター氏が関与したとし、4月に家宅捜索してノートパソコンや携帯電話などを押収した。

 彼の上司がそれを知り、仕事初日後に「もう来なくてよい」と言われ、数日後正式に解雇されたという。

 アマゾン側はコメントを控えている。

【事件の経緯】
 暴行事件の後、犯人が所属する高校フットボールチームのファンサイトがハッキングされ、ガイ・フォークスの仮面をかぶった男らが「被害者に謝罪しなければ、選手らの個人情報を公開する」と脅す動画が掲載された。これにより、小さな町で起こった犯罪が国民的注目を浴びることとなった。

 ロスタッター氏はKYAnonymousというハンドル名を名乗っており、動画に映っている仮面の男の1人であることは認めたが、ハッキングはしていないと主張している。

 ハッキングについては、バージニアビーチ出身の22歳の男(ハンドル名:BatCat)が2月に自分がやったと認めている。

【解雇は妥当か?】
 ケンタッキー州では、人種や宗教差別など違法な理由でない限り、雇用主は好きなように人を雇い、解雇できる。そのためロスタッター氏の法的選択肢は限られており、「確かに公平ではないが、合法である」との労働法専門の地元弁護士の見解をハフィントン・ポストは掲載した。

 同サイトは、クレジットカード番号や住所など顧客の機密情報を扱い、クラウド事業を展開しているような会社は、ハッキングでFBIに家宅調査された人間を雇いたくないだろう、とアマゾン側の姿勢を解説した。

【今後のロスタッター氏の動向は?】
 同氏はハフィントン・ポストに対し、「私はアマゾンから何かを得たいわけではない」とした上で、アノニマスのメンバーに言及し、「我々は他の人と同じ権利を持っている」「我々はアルカイダではない。我々は米国や米国民を破壊しようとはしない」と語ったという。なお同は、「ITコンサルタント」として仕事を始めたばかりだという

 FBIの家宅捜索令状では、ロスタッター氏はコンピューター犯罪や悪質な個人情報窃盗などの連邦犯罪を犯したとされており、有罪となれば最長10年の刑を宣告されるという。

 一方で、2人の暴行犯らはそれぞれ1年と2年の刑しか宣告されていないとハフィントン・ポストは指摘している。

Text by NewSphere 編集部