貿易赤字1兆円 原因はエネルギーコスト増?

 財務省は19日、日本の7月の輸出総額が季節変動調整後で5.78兆円と、8ヶ月ぶりに前月比1.8%の減少を示したと発表した。ただし前年比ベースでは12.2%増で、2010年以来の大幅増である。

 輸入は同じく前年比ベース19.6%増で、差引き貿易赤字は1.02兆円(季節調整後9440億円)、1979年以来第3位の記録である。ブルームバーグのエコノミスト予想では輸出は前年比12.8%増、輸入は16%増、貿易赤字は7735億円であって、それより大幅に大きな赤字となった。

【楽観から悲観まで】
 輸入増の原因としては、エネルギーコスト増や円安によってエネルギー価格が上がったことが指摘されている。

 ブルームバーグは「エネルギー価格は遅かれ早かれ落ちるでしょうし、世界経済が改善されるにつれ輸出量も上昇しますので、私は貿易赤字をそう心配しておりません」との専門家予想を伝えた。

 また、ユーロ圏経済が第2四半期に成長復帰すると同時に、EUへの輸出が7月は16.6%増(6月は8.6%増)となったと報じた。米国向けは18.4%増(6月は14.6%増)であった。

 不動産バブルの状態にある中国は、政府がその対応に苦慮している。タイの成長が、第1四半期の前年比5.4%増から第2四半期は2.8%へと減速していることも指摘されている。

 一方でフィナンシャル・タイムズ紙は、前月比での輸出減や世界経済の不安定さを重視して「米国やアジアなどの主要市場で一段落した需要が、円安によるメーカーへの後押しを相殺した」と評しており、データに対する捉え方は分かれている。

【消費増税でマイナス成長へ】
 こうしたデータが日本経済の強さを示しているのかどうかについて、各紙は、消費税増税論議との関連にも言及している。

 ブルームバーグは、4月に予定通り8%へ増税するとGDPは3ヶ月で年率4.3%縮小し、その後成長に復帰すると予想している。

 フィナンシャル・タイムズ紙によると、塩崎恭久・自民党政調会長代理と本田悦朗・首相顧問は、ともに増税が経済に「大きな影響を与える」と認めているが、塩崎氏がそれでもなお強行を主張しているのに対し、本田氏は5年間かけて1%ずつの漸増を勧めているという。

Text by NewSphere 編集部