緊迫するエジプト情勢 支援やめるEU、やめられない米国

 エジプトの内務省は18日、脱獄を図ったムスリム同胞団のメンバーを治安部隊が催涙ガスを使用して鎮圧し、36人が死亡したと発表した。

 シシ国防相は、デモ隊を「テロリスト」と呼び、暴力的な抗議行動に厳しく対処する姿勢を改めて強調。モルシ前大統領の復権を求めているムスリム同胞団の幹部は「デモは平和的だ」と反論した。

 またエジプト暫定政府は、イスラム教徒弾圧に批判的な米国や西側諸国との戦略的関係を「見直す」方針を明らかにした。

 海外各紙は、エジプト市民の生活や欧米諸国の対応を報じた。

【エジプト市民の生活】
 24時間都市で有名な首都カイロは、先週から夜間外出禁止令により道路や店が閉鎖している。

 「長い目で見れば、この危機はエジプトにプラスの効果がある。国内投資に対する国家的態度を発展させる」という、カイロのアメリカン大学のエコノミストの見解をアルジャジーラは掲載した。

 しかし当面、事は深刻で、エジプトの町に点在する果物や野菜の業者は緊急外出禁止令の痛みを感じていると同紙は指摘した。

【米国の対応】
 米政権は先週、来月予定されていたエジプトとの合同軍事演習「ブライト・スター」の延期を決定した。ただ、影響力の維持を目的としたエジプトに対する15億ドルの軍事的・経済的支援は続ける意向を示唆した。

 しかし米政権とエジプト暫定政府の亀裂は深まっており、エジプト情勢に対するオバマ大統領の影響力は限定されてきているとウォール・ストリート・ジャーナル紙は指摘した。

 米議会ではオバマ政権のエジプト政策に対する反対が強まっており、上院議員らが18日のテレビ番組に出演し、次々と反対意見を表明した。その一方で一部の下院議員はエジプト援助を続行すべきとの見解を示したという。

【EUの対応】
 欧州連合(EU)は、エジプトへの援助を停止する方向で検討に入った。

 EUは昨年11月、民主改革の実施を条件に、エジプトに総額50億ユーロの金融支援をすることで合意していたが、この問題について19日に欧州連合(EU)外相会合の開催を予定しているという。

Text by NewSphere 編集部