韓国に友好姿勢の北朝鮮、核施設を2倍に拡大していた

 北朝鮮の祖国平和統一委員会は7日、開城(ケソン)工業団地操業の韓国に対する立ち入り制限をやめると発表した。北朝鮮は、韓国人経営者が施設へ戻ることと、北朝鮮人労働者を施設へ戻すことを認めた。開城工業団地には123の韓国企業が進出していたが、4月に北朝鮮が自国労働者を引き上げ、操業が中止されている。

 また北朝鮮は、新たな政府間協議を8月14日に行うことを提案した。

 一方、米シンクタンクの科学国際安全保障研究所(ISIS)は同日、北朝鮮がここ数ヶ月で、寧辺(ヨンビョン)にあるウラン濃縮施設を2倍に拡大しているようだと発表した。

【開城工業団地操業再開へ】
 北朝鮮の申し入れは、韓国政府との6度に渡る政府間協議が失敗し、操業再開の目処が立たないため、企業に2810億ウォン(約240億円)の保証金を支払うと発表した直後であった。韓国側は提案を前向きな姿勢だと歓迎し、即座に受け入れた、とフィナンシャル・タイムズ紙が報じている。

 しかし、韓国側が最も強く求めている、労働者の突然の引き上げを繰り返さないという確約はなされていない。ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、韓国企業は施設に4500億ウォン(約389億円)を投じており、操業停止が続いていることによる損失は3000億ウォン(約260億円)に膨らんでいるという。

【核施設の拡大】
 一方、同日に発表されたISISによる報告は、6月10日に撮影された寧辺核施設の衛星画像をもとに計算したものだという。停止していた寧辺原子炉の運転再開を発表する直前、3月に増設が開始されたようだ。

 映像を解析した専門家によると、4月に行われた北朝鮮の発表は、増設をごまかすためのものであり、当時、世界は見過ごしてしまったと指摘している。報告では、北朝鮮は施設増設により、年間に核兵器2個分を作るための高濃縮ウランを生産可能になるという。

 ニューヨーク・タイムズ紙は、国際的な制裁により資源などの調達が難しいにもかかわらず、施設を拡大できたことに対する、専門家の懸念を伝えている。

 なお、増設に関する北朝鮮側のコメントは取れていないようだ。

 北朝鮮の金第一書記は、2012年4月、経済開発を最優先としながら核開発の強化もすすめるという「新戦略方針」を発表していた。

Text by NewSphere 編集部