米国の「過剰反応」?アルカイダのテロ計画に疑問の声

 イエメン政府は7日、国際テロ組織アルカイダによる複数のテロ計画を阻止したと発表した。

 発表によると、イエメンを拠点とする「アラビア半島のアルカイダ(AQAP)」が、石油パイプライン爆破や主要港の占拠計画を立てていたという。ただ、計画が明らかになった経緯などの詳細は語らなかった。

 この発表に対し、米政府はコメントを控えた。また米国務省のサキ報道官は「イエメンの米大使館は引き続き閉鎖する」と述べ、アルカイダの脅威への見解は変わらないとした。

 海外各紙は、テロ対策をめぐって協力関係にあるイエメンと米国の見解の違いに注目した。

【イエメン政府に疑問の声】
 イエメン政府の発表は、AQAP指導者のナシル・ワヒシ氏とアルカイダ指導者のザワヒリ氏との通信を傍受し、米国が中東などの在外公館を閉鎖した直後に行われた。

 ニューヨーク・タイムズ紙によると、これまでも、イエメン政府は米当局者が公式訪問した際に、アルカイダ対策を発表することがよくあったという。ただしその業務は、不思議なことに、当局者が出国した後になくなると指摘した。

 同紙はまた、「(イエメン)政権はこの1年でアルカイダは弱体化していると説明していたため、(米国の)措置は特に不快だった」とのアナリストの見解を掲載した。

【米政府の対応は過剰反応?】
 アルカイダ指導者と幹部の通信では、攻撃の性質も場所も特定されなかったし、実行予定日は4日だったという。この曖昧な脅威に対するオバマ政権の対応に疑問の声も上がっているという。

 ニューヨーク・タイムズ紙は、オバマ政権は、駐リビア米大使のクリストファー・スティーブンス氏が死亡した昨年の攻撃による政治的影響を理由に「過剰反応している」という一部の米当局者の見解を掲載した。

 一方フィナンシャル・タイムズ紙は、いずれにしろテロ警告は、オバマ政権によるイエメンでの対テロ対策が機能しているかどうか疑問を引き出すと指摘した。

 米国は7日、無人機による攻撃で過激派メンバー7人を殺害した。他にもアルカイダ系組織の幹部らをこの攻撃で殺害している。同紙は、このような攻撃による巻き添え被害はアルカイダの魅力を高める可能性があると懸念している。

 なおオバマ大統領は7日、カリフォルニア州の海兵隊基地で演説し、「アルカイダや同じ志を持つ過激派はいまだに我々の祖国を脅かしている」と述べ、テロに屈しない考えを改めて示した。

Text by NewSphere 編集部