イラン新大統領は、核問題「対話路線」か?

 イランのロウハニ新大統領は6日、就任後初の記者会見で、核問題をめぐる欧米との協議について「真剣で実質的な交渉の用意がある」と表明した。

 ただ、協議は「脅威でなく交渉に基づくべき」と警告。核論争の中心であるウラン濃縮活動については「イランの権利だ」と述べ、従来どおり停止しない考えを示した。

 米国務省は「イランはウラン濃縮停止を求める国連安保理決議に違反している」と反論。「まず国際的な義務の履行が先」と述べ、イラン側が直接交渉への鍵を握っているとした。

 一方、欧州連合(EU)のアシュトン外務代表は、できるだけ早く「有意義な交渉」を再開できるよう、ロウハニ大統領に呼びかけた。

 海外各紙は、イランは本当に対話路線に転換したのかに注目した。

【米国との直接交渉は?】
 イランと米国間で30年以上にわたり政治的タブーとされてきた核問題について、両国の直接交渉の可能性が出てきた。

 しかしロウハニ大統領の発言は、アハマディネジャド前大統領より寛容であるかにみえるが、イランの立場に新境地を開いていないとニューヨーク・タイムズ紙は指摘した。

 ロウハニ師はかつて核協議の交渉責任者として、欧米側と一時的な合意に達したものの失敗に終わった過去がある。そのため多くのイラン国民や外交官は、彼がもっと語調を強めるよう望んでいるとウォール・ストリート・ジャーナル紙は指摘した。
一方、中道派のロウハニ師は「最高指導者(ハメネイ師)に挑戦するというアフマディネジャドの失敗を繰り返さないだろう」という全米イラン系アメリカ人評議会のトリタ・パルシ会長の見解をガーディアン紙は掲載した。

 同紙は、ロウハニ師がザリフ元国連大使を外相に指名したのは、ハメネイ師への忠義を利用して外交政策を有利に進めるためと報じた。ザリフ氏は以前、米国との極秘2国間協議に関与し、米外交官らに気に入られているという。

【イスラエルとの対立は?】
 ロウハニ大統領は記者会見で遠回しにイスラエルを批判した。

 ロウハニ師は「ある外国の利益」を批判したが、これは明らかに親イスラエルのロビー団体のことだとニューヨーク・タイムズ紙は報じた。同団体は、ウラン濃縮活動を停止しなければ対イラン経済制裁を強化する法案を推進する米議会を支持している。

 イランの核開発に反対するイスラエルのネタニヤフ首相は、ロウハニ師は「羊の皮を来た狼」であり、新大統領は政策変更しないと主張している。

Text by NewSphere 編集部