北朝鮮のサイバー攻撃に韓国国民が協力か 

 韓国当局は31日、北朝鮮からのサイバー攻撃に助力した疑いで、韓国のIT企業幹部を捜査していると発表した。

 報道官によると、容疑者は50代の男性で姓はキムであり、北朝鮮にユーザー名やパスワードを提供し、約11万台のパソコンへの不正侵入を手助けしたようだ。

 当局は既にキム氏の事務所や住居、サーバの設置場所を捜索しており、今後の捜査で、2009年7月からの北朝鮮の一連のサイバー攻撃がどのように行われていたか明らかになる可能性が出てきた。

 ソウル検察当局によると、キム氏は90年代終りごろから中国で働いており、その間、北朝鮮の工作員と定期的に接触していたようだ。

【11万台のゾンビパソコンが不正侵入の踏み台に】
 北朝鮮は、不正侵入したパソコンを、攻撃基地「ゾンビ・パソコン」として利用したようだ。遠隔操作することが可能になり、さらに、これを踏み台にして他のコンピュータなどを攻撃することもできる。攻撃をうけるとウェブサイトやサーバが停止したり、情報が消去されたりする。

 6月には韓国の政府や行政機関、放送局のウェブサイトが被害を受けている。いずれの場合も韓国は、IPアドレスなどから北朝鮮の犯行であると非難している。韓国の国防相は、少なくとも3,000人の「ハッカー」が北朝鮮で活動していると述べている。北朝鮮は関与を否定している。

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、韓国の未来創造科学部は、2017年までにITセキュリティのエキスパートを現在の200人から5,000人に増員する計画を発表している。

【韓国紙も現状を嘆く】
 韓国国民による北朝鮮への助力は初めてではない。以前にも、ゲーム制作仲介業者が、北朝鮮の工作員にパソコンアクセス権情報を渡し、約6,000台を「ゾンビ・パソコン」に仕立てたことで、2年の実刑が言い渡されている。

 北朝鮮からのサイバー攻撃は、判明しているだけでも、今年3月と6月に2度あった。さらに09年7月と11年3月にも、DDos攻撃を受けていた。

 韓国最高のハッカーと言われるパク氏は、攻撃を受けたことも気づかない被害者はもっと多いだろうと語っており、内に北の内通者がいるのでは、外をどれだけ固めても守りきることができないと韓国の東亜日報が指摘している。

Text by NewSphere 編集部