アメリカがメンソールたばこを規制か?その危険性とは

 アメリカの食品医薬品局(FDA)は23日、メンソールを含むたばこの方が、含まないたばこに比べて、健康に対する害が大きい可能性があると発表した。
 FDAは、メンソールを含むたばこの販売規制が必要か検討を始めた模様。ただ、規制の判断から実施には数年を要するとみられている。

【メンソールたばこの危険性とは?】
 メンソールを含むたばこは、その吸いやすさなどから、より依存性が高く中毒に結びつきやすく、若者の喫煙の助長にもつながっていると報告された。
 ただし、FDAによる調査では、メンソール自体は、喫煙者にとってそれほど危険なものではないとされている。
 FDAの発表に対して、嫌煙家たちは、FDAがメンソールたばこを禁止する意図があるのかあいまいな態度であると不満を感じているようだ。

【タバコメーカーの反応】
 アメリカ国内ではここ数年、喫煙率は低下しているが、メンソールたばこを吸っている人の割合は上昇しており、特に若年層に人気のようだ。
 メンソールたばこは、アメリカたばこ市場の30パーセントほどを占めており、たばこ産業における数少ない成長領域となっている。
 アメリカのメンソールたばこで40%のシェアを占めている「ニューポート」を販売するロリーランド社は、メンソールたばこと普通のたばことで健康に対する影響は変わらないことを示す科学的な実証を望んでおり、それぞれのたばこは同等に扱われるべきだとしている。
 また、ニューヨークタイムズ紙によると、「クール」や「セーラム」のメーカーであるレイノルズ社は、規制までには時間がかかるため、短期間で影響が出るわけではないと述べている。

【メンソールたばこの規制問題、複雑化の要因とは】
 メンソールたばこは特に黒人に広く支持されている。そこでいくつかの黒人団体が、メンソールたばこの規制は黒人差別につながるという反対運動をしており、問題は複雑化している。
 なおFDAは今年、メンソールたばこに関して新たな3つの研究調査を行うとしている。特定の人種や民族がメンソールたばこを好む理由を明らかにする調査などだ。

【世界的なたばこへの規制の動き】
 背景として、近年、世界的にたばこへの規制が強化されている。
 例えばオーストラリアでは、2012年12月に世界で初めて、国内で販売されるたばこの箱の包装から、ロゴやイメージカラーなどの一切のものを排除する規制の全面導入を行った。宣伝のためのデザインが排除され、特定の書体での銘柄名の表示が決められているだけでなく、喫煙の健康被害を連想させる、身の毛のよだつような画像があしらわれている。アイルランドも、たばこの銘柄のロゴやパッケージデザインを排除し、銘柄名だけを用いたプレーンなパッケージとすることを強制した。
 また、たばこを店頭に置くことを規制している場合もある。ニューヨーク市の店舗では、たばこはカウンター下やカーテンの後ろにある棚や引き出しなど、目につかないところに置くように規制されている。
 加えて、香りつきたばこの販売規制や、電子たばこのマーケティングに対する規制などがある。現在ヨーロッパでは、メンソールやその他のフレーバーがついたたばこの販売禁止に向けた動きがある。 ブラジルでは、若者の喫煙を助長するとして、全てのフレーバー付きたばこが禁止された。

Text by NewSphere 編集部