ギリシャ人、「公務員リストラ」に猛反発 24時間ゼネストの行方は?

 財政再建中のギリシャで16日、政府の人員削減計画に抗議する、大規模な24時間ゼネストが行われた。ほぼ終日にわたり首都アテネなどで公共交通機関が混乱した。
 同国の2大労組、公務員連合(ADEDY)と民間の労働総同盟(GSEE)が主導したもので、警察の推計によると約1万6000人がデモに参加したという。
 サマラス政権は、人員削減を強化するための労働予備制度を盛り込んだ緊縮財政法案を議会に提出しており、その投票が17日に予定されている。ユーロ圏諸国や国際通貨基金(IMF)からギリシャ支援プログラムの一環として81億ユーロの金融支援を確保するため、同法案を通過させる必要がある。
 公務員連合は「大量解雇の方針、公共機関の解体、労働権概念の破壊は、新しい非民主的な統治を引き起こす」と語った。
 海外各紙は、支持を失った状態のサマラス政権が、「トロイカ」による改革加速の圧力にさらされていると報じた。

【債権者「トロイカ」の苛立ち】
 先週、欧州連合(EU)、欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)から成る「トロイカ」は、ギリシャに対し、給料・年金支払いのため81億ユーロを追加支援することに合意した。ただ、公共部門の人員削減を含む改革の実行を条件とした。
 ギリシャの債務危機が4年目に入り、救済融資期限が2014年5月に迫る中、トロイカは公共部門合理化の進展の遅さに苛立ちを感じているとガーディアン紙は報じた。

【政府のリストラ計画】
 今回デモの標的となった人員削減計画は、年末までに2万5000人を労働予備軍に編入するというもの。労働予備軍となれば、次の職を見つけるまで賃金の75%を受け取ることができるが、8ヶ月以内に見つからなければ解雇となる。2014年中に、さらに1万5000人の解雇を見込んでいるという。
 ニューヨーク・タイムズ紙は、特に定年に近い公務員が職を失うことを恐れていると指摘した。

【ギリシャ政権内の混乱】
 6月にはサマラス首相が公的給与を削減するため、公営放送局ERTの閉鎖を決定した。これを受け民主左派が離脱したことで連立パートナーは1党となり、政権は不安定な状況だ。
 政府の仕事が長い間保障されてきたギリシャで、政府は硬直化した官僚制度を揺るがす債権者の要求にこたえるためもがいているとウォール・ストリート・ジャーナルは報じた。

 「トロイカと政府は数字だけでなく、大量解雇の社会・政治的影響を見るべき」というギリシャの大手シンクタンク局長のコメントをガーディアン紙は掲載した。

Text by NewSphere 編集部