インドの水害で5700人以上が犠牲

 インド北部ウッタラカンド州で、6月に起きた豪雨と土砂崩れや洪水により、少なくとも580人が死亡し、5748人が行方不明とされている。州政府当局は15日、行方不明者5748人全員を死亡と断定し、遺族らへの災害見舞金の支給手続きを開始する、と発表した。ただ、見舞金が支給されるのは、同州在住の犠牲者の遺族のみだ。
 海外紙は、大きな被害の背景を報じている。

【困難な捜索】
 ブルームバーグによると、インド政府は被害者の家族には50万ルピー(約85万円)の補償を支払い始める予定だという。 なお、同国法律では、死体がない場合、7年経過しないと死亡宣告はできないともされている。

 行方不明者の多くは、聖地を訪れていたヒンズー教徒やシーク教徒などの巡礼者のようだ。さらに、届け出を出していない出稼ぎ労働者も被害にあったとされている。

 捜索場所によっては、密生した森林、変わりやすい天気、狭い谷などが障害となり、救助は難航していた。これまで、ヘリコプター衝突などで20人の軍関係者が既に命を落としているという。
 捜索を行っていた同国空軍将校は、たとえ洪水を回避するため山に登っていたとしても、1ヶ月もの間、厳しい自然の中で生存し続けることは決してないだろうと述べている。

 インドの自然災害としては、過去10年余りで類を見ない被害であるとされている。なお、洪水が発生した川の源流はヒマラヤであり、「ヒマラヤの津波」が襲った、と報じるメディアもある。

【他の地域でも洪水の被害が】
 タイムズ・オブ・インディア紙は、インド北東部のアッサム州も洪水被害を受けたが、改善されたと報じている。アッサム州を流れるブラフマプトラ川とその支流の水位は引いており、新たな洪水は24時間以内に認められなかったという。

 被害が大きかった場所は、ヒンズー教の神「シヴァ」が奉られており、暴風雨をもたらすが、同時に土地に水をもたらすという二面性がある。今回のモンスーンも、一方では、水不足に悩む土地には恵みの雨となっている。インドの降水量の約70%を占めるモンスーンは、農業大国にとって重要といえる。

Text by NewSphere 編集部