米中戦略対話 サイバー問題、気候変動対策で「新たな関係」を築けるか?

 米国と中国が、安全保障や経済、貿易など幅広い課題について話し合う、第5回米中戦略・経済対話が10日、ワシントンで始まった。
 開会式に出席した米国のバイデン副大統領と中国の汪洋副首相は、先月の米中首脳会談で合意した「新たな形の大国関係」構築に向け、協力を深める重要性を強調した。
 米国からはケリー国務長官とルー財務長官、中国からは楊潔チ国務委員と汪洋副首相が共同議長として出席した。11日までの2日間で、両国の協力関係の具体像を探る。
 10日の討議後、ケリー国務長官が病気療養中の夫人に付き添うため地元ボストンに戻ることになったため、11日はバーンズ副長官が代わりを務める。
 海外各紙は、初日に焦点となった主な課題(サイバー攻撃問題、経済改革、気候変動対策)について報じた。

【サイバー攻撃問題は、平行線】
 米中間の懸案であるサイバー攻撃問題については、元CIA職員のエドワード・スノーデン容疑者が暴露した米政府による中国のコンピューターへの侵入問題などが議題となった。
 米側はサイバー攻撃による知的財産の窃盗に対処するよう中国側に求めたが、中国側は関与を否定し、むしろ被害者だと主張した。
 米高官は全ての国がお互いに情報活動をしていると言うが、中国の外国技術の窃盗は特別だとロイターは指摘した。

【中国の経済改革は「5年かかる」?】
 米企業は、中国市場へ製品を投入する際に技術移転を求められる中国の政策に不満を持っている。
 米国側は、中国経済について、投資・輸出依存から消費主導型へ移行することの重要性を強調。さらにルー長官は「為替改革は中国の家計の購買力を押し上げるため、このプロセスで重要だ」と述べた。
 対して汪洋副首相は、「それらの問題を解決し合意に達するには少なくとも5年かかる」との見解を述べた。

【気候変動対策には進展】
 気候変動対策については進展が見られた。米中は大型車の排出ガス削減など5つの協力分野を設定し、10月までに具体的な行動計画を策定することで合意した。
 これが着実に進展すれば、新しい国際的な気候変動の合意構築の期待が高まるとフィナンシャル・タイムズ紙は報じた。
 具体的な行動計画は、米中対話の下に設置された気候変動作業部会が担当するという。「(作業部会の目的は)2015年の新合意に達するため、気候変動枠組条約にも厳格に従うこと」という中国国家発展改革委員会の解振華副主任のコメントを、中国の国営新華社通信は掲載した。

Text by NewSphere 編集部