経済効果は25兆円? 米・EU貿易交渉の行方は

 アメリカとEUは8日、環大西洋貿易投資連携協定(TTIP)の制定に向けた1回目の交渉を、ワシントンで開始した。5日間行われる予定だ。
 この協定が締結されれば、大西洋を挟んで、世界のGDPの半分近くを占める貿易圏が生まれることとなる。
 6月末に、米国家安全保障局(NSA)の元職員、エドワード・スノーデン氏が、アメリカによるEU機関への盗聴等の情報活動を暴露したことによって、フランスとドイツの首相が不信感を示し、交渉への懸念が生まれていた。
 しかし、これに対して問題を検証する作業部会を設けることによって、予定通り交渉が開始された。

【経済効果に期待する声に対し、悲観的な分析も・・・】
 両者にとって、協定の経済的なメリットは非常に大きいものとなるとエコノミストは見込んでいる。
 ロンドンの政策研究所の調査によると、EUには約1190億ユーロ、アメリカには約1220億ドルの経済効果をもたらすという。
 EU当局者は、この協定が雇用と成長の機会を創出し、EU諸国を経済危機から救う助けとなると確信していると述べた。さらに世界経済にとっても良いニュースであるとしている。
 一方、IMFの予測はあまり楽観的でない。ユーロ圏は今年再び拡大をすすめ、とても成長が見込めないような国も加わるとみているためだ。アメリカに対しては1.9%程度の成長を見込んでおり、これはEUより高い。

【争点は、遺伝子組み換え食品と個人情報か】
 利権に関する争いも生じている。特にフランスは、国内映画産業に対する補助金の維持を主張しており、自国の芸術産業の現状を維持していく姿勢をみせている。
 さらに、最も大きい争点となるとみられるものは、アメリカ産農作物の安全基準である。EUでは、アメリカの遺伝子組み換え食品に対する拒否感が大きいためだ。ドイツのメルケル首相は、遺伝子組み換え食品に関する規制を守っていくことを繰り返し強調している。
 またフェイスブックやグーグル、マイクロソフトなどを擁するアメリカは、EUに、個人情報に関する規制緩和を求めており、これも重要な争点となるであろうとガーディアン紙は報じている。

 フィナンシャル・タイムズ紙によると、こうした農作物や個人情報に関する交渉は後回しとされているという。第1ラウンドとしては、財やサービス、投資や公的買い上げに関する市場への参入についてと、知財やエネルギー、素材などに関する関税と規制についての交渉が行われているようだ。

 なお消費者団体らは、消費者や労働者の権利、労働環境などに対しての規制が大きく緩和されることを懸念し、交渉過程についての情報の開示を要求しているようだ。

Text by NewSphere 編集部

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