エジプト政変 両派の今後の動きは?

 エジプトのモルシ大統領が軍に拘束され、暫定新政権が宣言されたことを受けて、新旧政権両派は、ともに次の動きを進めている。

【正当化に躍起な暫定新政権】
 暫定新政権は大統領派のムスリム同胞団メンバーを多数逮捕、放送局を閉鎖するなど、締め付けを行っている。
 ニューヨーク・タイムズ紙によると、これについて新政権派のノーベル平和賞受賞者・エルバラダイ氏は、「復讐と殺人と殺害扇動を呼びかけているので」当面止むを得ない措置であったと語っている。また、幾つかの局からは武器が見つかったと主張している。大統領の拘禁も、「尊厳と敬意を持って」行われたと聞いている、という。
 エルバラダイ氏は「数人」、司法の命令なしで逮捕が行われたことに「いくらかの懸念はある」と認め、「すべてが正当な手続きで行われなければならないことを全ての治安当局に強調している」「ムスリム同胞団のメンバーであることは全く犯罪ではない」などと述べている。
 またエルバラダイ氏はケリー米国務長官やアシュトンEU外務代表らに、モルシ大統領の排除が必要だった旨を説明し暫定政権への理解を求めていたことを語った。

【抵抗呼び掛けるも頭脳を失った同胞団】
 エルバラダイ氏が同胞団の政治参加を認めているのに対し、同胞団側は、「強奪当局」に協力することを拒否した。同胞団はサラフィー派イスラム教徒と「正統性のための国民連合」を結成したと発表、また5日に全国規模のデモを宣言し、非暴力不服従を呼び掛けている。また西欧諸国にも、暫定政権を認めないよう要請しているという。
 しかしウォール・ストリート・ジャーナル紙は、同胞団はもともと組織力の強さや、被弾圧者として同情を誘う姿が強みであったとはいえ、それらの貯金をモルシ政権下で使い切ってしまったと指摘する。
 さらに今回指導者が多数逮捕されてしまったことで、デモに何十万人もの賛同者は集まっているものの、頭脳を欠く状態であるという。同紙が取材した同胞団の抗議者は、「諦めることは決してない」と勇ましく語りつつも、今後の戦略について問われると「命令を待っている」と答えていた。

Text by NewSphere 編集部