中国ではよくあること? 中国人労働者が社長を軟禁した背景とは

 中国人労働者に1週間軟禁されていた、米スペシャリティ・メディカル・サプライズのチップ・スターンズ社長は27日、労働者側の要求する解雇手当の支払いに応じ、解放された。
 同社は中国で10年間、医療用品を製造してきた。しかしここ数年間で中国人労働者の人件費が増加してきたため、より安い労働力を求めてインドへ工場の一部移転を計画していた。
 労働者たちはこの動きに対し、彼らに解雇の予定はないにもかかわらず、既に解雇された者と同等の支払いを求めたという。
 海外各紙は、企業が中国で遭遇する労働者問題とその要因を報じている。

【事件の顛末】
 労働問題解決のため、外国人経営者の自由を拘束する事件は今までになかったわけではないが、スターンズ氏の件は極端な事例だとフィナンシャル・タイムズ紙が報じている。
 スペシャリティ・メディカル・サプライズ社は去年から、プラスティック部品製造部門の労働者を需要が増している清浄綿の生産部門へ移動をすすめていた。

 先週には、30人の労働者に保証金を支払い解雇した。
 スターンズ氏によると、この時異動させられた労働者が、解雇された労働者と同等の解雇手当の支払いを求めたという。(ただしこの発言に対して労働者の代表は、滞っていた二ヶ月分の支払いを求めたのだと反論しているようだ。)
 スターンズ氏が支払いに難色を示したため、労働者側は21日、同氏を工場に拘束し要求に応じるよう求めた。
 その後25日に、「事業を自殺に追い込む」と同氏が言う解雇手当を、解雇の予定がないのに支払うことに合意した。この間スターンズ氏は、法律顧問、労働組合の代表、政府関係者と話し合ったという。
 労働組合代表は27日、この合意について「労働問題は誰もが満足する形で解決した」と記者会見で述べた。ただ、合意内容の詳細については明らかになっていない。

【中国人労働者の不安】
 経済成長が失速する中、それぞれの事情は異なるにしろ、労働問題は増加しているようだ。労働権利保護団体の中国労工通報は今月初め、今年に入っての4ヶ月間で201件の労働問題が起きたと報告している。
 1月には上海の神明電機の工場で、約1000人の労働者が日本人と中国人の会社幹部を工場に拘束した。トイレ休憩の就業規則と怠慢に対する罰則が厳しすぎるとしてという理由だった、とウォール・ストリート・ジャーナル紙が報じている。

 同紙は、中国人労働者は裁判で争うより自ら行動に出る傾向が強いと、専門家の分析を取り上げた。「労働者や請願を申し出ようとする人々は、一般に彼らの利益を守るための有効な法的手段がないと考えている」ためで、「自ら行動に出ることで手近な結果を得ようとする」のだという。
 ガーディアン紙は、今回の事件があまり知られていなかった中国での事業運営のリスクを浮き彫りにしたと報じている。そのうえで、中国人労働者と外国人経営者の信頼関係、法律の信頼性の低さという問題点を指摘した。

Text by NewSphere 編集部