「少女買春」ベルルスコーニ元首相に有罪 イタリア政治への影響は?

 イタリア・ミラノ地裁は24日、未成年買春および職権乱用で起訴されていたベルルスコーニ元首相に、禁固7年・公職永久追放の有罪判決を下した。ベルルスコーニ氏は罪状を否認しており、控訴の構えである。
 イタリアの司法は3審制で、今後裁判の長期化が予想される。ただし有罪が確定しても、70歳以上であるベルルスコーニ氏(76歳)には、収監ではなく自宅軟禁が認められる。
 また、ベルルスコーニ氏は保有企業の税金詐欺事件により、昨年すでに禁固4年・企業役職就任禁止3年・公職追放5年の有罪判決も受けている。こちらは控訴審に敗れたのち上告中であり、判決確定は今年末ごろと予想されている。

【乱痴気騒ぎ】
 ベルルスコーニ氏の罪状は、首相であった2010年、当時17歳だったモロッコの元ナイトクラブのダンサー、カリマ・エル・マフルーグ氏を買春したこと(※イタリアでは「未成年の」売買春が違法である)と、マフルーグ氏が窃盗で拘留された際、警察に釈放要求圧力をかけたことである。
 ベルルスコーニ氏とマフルーグ氏はともに性的関係を否定している。マフルーグ氏が未成年であった事も知らなかったという。
 またベルルスコーニ氏は、マフルーグ氏に計4万5千ユーロを渡したことを認めているが、売春をやめ新たな事業を始めるための友人としての援助だったと主張している。

 一方マフルーグ氏は、ベルルスコーニ氏がミラノ郊外の別荘で開いた「ブンガブンガ」と呼ばれるストリップパーティーに参加したことは認めており、修道女や看護師に扮した女性らがストリップを行っていたと証言している。別の裁判の別の証人は、ベルルスコーニ氏の「自由の人民」党の女性政治家も、パーティーで脱ぎ、踊っていたなどと証言している。

 警察への圧力についてベルルスコーニ氏は、マフルーグ氏を当時のエジプト大統領ムバラク氏の親類(各紙「姪」「孫娘」などと説明が錯綜している)と聞かされていたため、拘留による外交問題化を避ける意図のもと、マフルーグ氏についての情報提供を警察に求めたものと主張している。

【徹底抗戦】
 ベルルスコーニ氏は、「この国の政治生活から私を排除すべく、かつて見たことも聞いた事もない暴力の、信じがたい判決が下された」「それでも私は絶対に無実ゆえ、この迫害に対して抵抗するつもりであり、イタリアを真に自由公正な国にする私の戦いを放棄することは、どのような方法でもしたくない」などと、政治的意図による不当判決だと訴えた。各紙は、同党議員らの擁護の声も伝える一方、国民や女性団体からの判決支持も伝える。
 本件の影響で、中道右派の「自由の人民」と脆弱な大連立政権を組む中道左派のレッタ首相は、困難な立場に置かれそうである。
2月の総選挙で票が分散したため、首相は大連立政権を組まざるを得なかったが、「自由の人民」とは経済政策を巡って当初から対立がある。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、判決で追い込まれた「自由の人民」がかえって態度を硬化させ、彼らを切れない首相への圧力を強める可能性も示唆している。

Text by NewSphere 編集部