トルコ反政府デモ、解決の兆しはあるのか?

 公園の再開発反対デモへの警察が実力行使するなどして、全国規模の反政権運動に発展したトルコのデモは、警察が1日夕方に公園から撤退すると、現場には比較的静穏が訪れた。
 デモ隊は公園を占拠し続けているものの、ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、参加者は現場の清掃を始めたという。一方、デモ隊が暴徒化し始めている都市もあると報じられている。

【デモの被害は?】
 一連の騒動で、ハイウェイを封鎖しようとしてタクシーにはねられた参加者1人が死亡、また警察の発砲により1人が死亡したと報じられている。政府によると、トルコの81県の約半分に広がったデモで何百人もの人々が負傷し、約2000人が拘留されたという。
 投資家は情勢を不安視し、トルコの株価は1日で記録的な10.4%急落となり、国債利回りは急騰した。トルコリラも対ドルで下落した。

【我が道を往く首相】
 非難の渦中にあるエルドアン首相は3日、デモは過激派や外国にそそのかされた少数派のテロに過ぎないとして譲歩を拒否し、以前からの予定通り北アフリカ外遊に出発した。
 これに対し野党や公務員労働組合はデモ隊と協調、5日に全国ストを呼び掛けている。ギュル大統領も「民主主義は選挙のみを意味するものではありません」と述べ、多数派であることを背景に強権的手法をとる政権を批判、平和的デモを支持している。
 さらにケリー米国務長官も懸念を表明し、警察の対応について徹底調査を要求した。

【要求は政権交代なのか?】
 エルドアン首相の与党・公正発展党は経済政策などが好評で、10年前の首相就任以来、3度の選挙に連勝している。デモ隊からは政権の総辞職を求める声もあるが、ウォール・ストリート・ジャーナル紙が取材した若者は「すぐに彼より良い人を見つられるとは思いません」とし、首相辞任を望むのではなく、敵を増やす専制的なトーンを変えて欲しいだけだと述べている。

Text by NewSphere 編集部