インドで300人の毛派ゲリラが政治家を襲う 死傷者多数の事件の背景とは?

 インド中部のチャッティスガル州で25日、政権与党の国会議員らが、極左武装組織「インド共産党毛沢東主義派(インド毛派)」とみられる集団に襲われ、25人前後が殺害された。負傷者も多数出た模様だ。
 警察責任者によると、少なくとも16台の車を連ねて森林地帯を通過していたところを、約300人の武装集団が銃などで襲撃したという。議員団は警官に警護されながら車で移動中だったようだが、襲撃犯は、人数も武器の量も警官たちを圧倒していたという。
 海外各紙は、事件の背景とインド政府の対応を報じている。

【インド毛派とは?】
 インド毛派は、西ベンガルに拠点を置く武装組織だ。1980年代後半の農民反乱運動が源流とされている。インド毛派は、貧しい地域の人々や部族民の権利獲得のために戦っていると主張している。実際戦闘に加わるのは、インド社会の周辺に追いやられた貧しい部族民で、全体で数千人いると推測されている。少なくとも6つの州では、大きな存在となっているようだ。

【対立する政府と毛派】
 シン首相と国民会議派のソニア・ガンジー総裁は事件後の26日、チャティスガル州を訪れた。シン首相は「犯人を必ず裁きの場に引き出す」と述べ、ガンジー氏も、襲撃を「卑劣な行為」と非難した。
 フィナンシャル・タイムズ紙は、ここ数年、インド政府とインド毛派など反政府組織の対立はより強硬になっており、交渉より武力行動が強まっているという専門家の指摘を取り上げた。
 このような反政府活動が盛んなのは、主に、貧しい地方で、部族民の人口が多い地域だ。近年では、インド南部での資源開発を安全に進めるためにも、反乱を鎮圧するよう経済界から政府への圧力が高まっているという。

Text by NewSphere 編集部