米オクラホマ州の巨大竜巻 海外紙は警報システムに注目

 20日午後、米南部オクラホマ州で竜巻が発生。少なくとも24人が犠牲になり、多くの住宅や学校が倒壊した。大きな被害を受けた同州ムーアのルイス市長は、21日、現場での活動を捜索から復旧に移し、捜索活動を事実上終了する方針を明らかにした。
 オバマ米大統領は21日、犠牲者に哀悼の意を表するとともに、「歴史上で最も破壊的な竜巻の1つだ」という認識を述べた。さらに、「オクラホマ州が必要とするすべてのリソースを提供する」ことをファリン・オクラホマ州知事に伝えたと語った。
 米気象庁(NWS)は、竜巻は6段階中で最も強い「EF5」に相当すると発表した。
 海外各紙は、竜巻多発地域で巨大竜巻が起きた点に注目した。

【竜巻多発の町・ムーア】
 オクラホマ州は、いわゆる「トルネード・アレー」と呼ばれる竜巻多発地帯に位置しており、1999年にも巨大竜巻に見舞われた。当時10億ドルの損害で、米歴史上で3番目の額だったという。
 米気象庁によると、テキサス、オクラホマ、アーカンソー、カンザス、ミズーリ州の6州で今後も竜巻が起きる可能性は10%あるとしているようだ。
 ニューヨーク・タイムズ紙は、ムーアは竜巻多発地域にもかかわらず、公共や個人のビルで「セーフルーム」を義務づける条例がないし、「コミュニティーシェルター」が不足していると指摘した。

【科学者の目標「より早い警報を」】
 今回の竜巻で、米気象庁は、発生16分前にムーアに警報を発令したという。警報で避難し助かった住民も多いが、間に合わず犠牲になった住民も少なくない。

 こうした中、警報システムの精度を上げて避難の時間を長くするため、竜巻予測のシステムを調査している研究者を、ウォール・ストリート・ジャーナル紙は取り上げた。
 「入道雲」内の光の爆発の地図をつくって実験している専門家や、「インフラサウンド」という、人には聞こえない低周波のガラガラ音を研究している研究者がいるという。この音で雨雲に隠れる竜巻も探知できる可能性があるという。
 ただし、「これらのアイデアが実際の警報システムに組み込まれるには数年かかる」と、研究者が忠告していることも同紙は報じている。

Text by NewSphere 編集部