アップルの「税逃れ」はシロなのか? 米議会が追及

 米アップル社の「税逃れ」が問題になっている。
 米上院の調査報告によると、同社は「4%の従業員と1%の顧客しかいない」アイルランドの子会社に、海外利益の3分の2を移していると指摘。これにより、少なくとも過去4年間、どこの国にもほとんど法人税を支払わずに済ませたと主張している。なおアイルランドに支払うべき税は、同社と同国との過去の特別交渉により、非常に低くなっている。
 海外利益を米国内に還流させない限り、法律上は違法ではない。とはいえ、同社が支払いを逃れた税額は740億ドルともいわれる。
 上院調査委員会のカール・レビン委員長(民主党)やジョン・マケイン議員(共和党)らは、「米国経済への本当の害」「複雑かつ悪質」などと非難している。

【上院調査委員会への喚問】
 上院調査委員会は21日、同社のクックCEOらを証人喚問した。
 ニューヨーク・タイムズ紙によると、営業畑出身のクックCEOの巧みな話術の前に、議員らは概ね丸めこまれてしまった様子だという。
 アップル側は、子会社は税逃れ目的で設立したものではないと主張。さらに、米国内での課税対象額は1ドルの例外もなく支払っており、実質法人税率としては30.5%にも相当すると述べた。なお法定税率は35%であるが、各種控除によりこれよりも下がることはありうる。
 そのうえで、海外への利益移転を推奨するかのような税制に問題があるとまで主張した。そのうえで、「米国企業であることを誇りに思う」と述べ、自社への税負担が増えるとしても、税制改正を望むと語った。
 アップル社に同情的なランド・ポール議員(共和党)などは、「誰かがここで審問されなければならないとしたら」議会自身のほうだと語った。

【氷山の一角か】
 ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、アップル社に限らず、多国籍企業が巧妙に各国間の税法の隙をつく「税逃れ」が各国で問題になっており、英仏豪など各国議会の側で、これに対処する動きが起こっていると報じている。

Text by NewSphere 編集部