WHOが警告する「新型コロナウイルス」 危険性と対策は?

 中東を中心に感染が確認されている新型コロナウイルスに関して、WHO(世界保健機関)は、ヒトからヒトへ感染する可能性が高いと警告。波紋が世界中に広がっている。
 2012年9月にサウジアラビアで初の感染が報告されて以降、世界中で34人の感染と18人の死亡が確認されている。2003年に流行った「重症急性呼吸器症候群(SARS)」と似たウィルスで、発熱や肺炎、呼吸困難などを引き起こし、最悪の場合は死亡するケースもある。
 海外各紙は、WHOの発表をもとに、未だ不明な点の多い新型ウイルスについて情報をまとめている。

【ヒトからヒトへの感染例か?】
 WHOは、ヒトからヒトへの感染の確証はないものの、可能性は高いとしている。
 フランスで報告されている2人目の男性患者(50歳)は、最初に感染が確認された男性患者(65歳)と同室に入院していたとニューヨーク・タイムズ紙は報じている。同紙によると、1人目の男性はドバイ旅行の後に体調を崩し入院していたという。このことから、ヒト-ヒト感染の可能性が高いとされているものの、治療にあたった医療チームや最初の男性とドバイツアーに参加した人々などを検査した結果、他の感染事例はないという。
 そのため、感染には、長期間におよぶ接触や免疫力低下などの影響が大きいのではと予測されているようだ。

 コロナウイルスはコウモリに宿っており、何らかの方法でヒトに感染したものとして研究が進められているとフィナンシャル・タイムズ紙などは報じている。直接、ヒトに感染したのではなく、コウモリの糞などが付着したフルーツを人が口にしたのではと推測されているようだ。発生源から感染・対処方法など多くが明らかになっておらず、今後も多角的な研究の必要がある。

【SARSの経験活かし感染予防を】
 ワクチンなどが開発されていないため不安が広がっているものの、WHOによると、その感染力は「限られている」ようだとガーディアン紙は報じている。体外での生存期間は24時間で、石鹸での手洗いなどで、比較的簡単に予防できるという。
 また、2003年に流行したSARSの経験を活かした感染予防が役立っているとニューヨーク・タイムズ紙は述べている。患者の治療の際に保護マスクなどを使用することで感染を防ぎ、患者の症状に合わせて適切な治療を行うことで回復させることができるだろうと言われている。

 10月にはイスラム教のメッカ巡礼が予定されており、大勢が集まることから感染の拡大が懸念されているとフィナンシャル・タイムズ紙は指摘している。
 しかし、その他は一般的な風邪予防と同様に注意しておけば、中東旅行を取りやめるほど神経質になる必要もないと言われているようだ。
 今後見直される可能性はあるものの、現時点では中東への渡航や貿易規制は出されていないという。

Text by NewSphere 編集部