バングラデシュ・デモ過激化の背景とは

 バングラデシュの首都ダッカなどで6日、イスラム強硬派約20万人のデモ隊と治安部隊が衝突した。報道によると、少なくとも37人が死亡、250人が負傷し、数百もの店が破壊されたという。
 デモ隊は、神を冒涜した者に死罪を設けることなどを要求していたが、政府は拒否していた。5日からダッカで始まったデモは、車に火を放ったり、道路に石や木などの障害物を置いて道を封鎖するなど過激化。警察はゴム弾や催眠ガスを使って対応した。
 海外各紙は、デモの背景と影響について報じている。

【混乱がいつまで続くのか】
 背景には、2月、同国最大のイスラム政党「イスラム協会(JI)」の幹部に対し、独立戦争時の大量虐殺などの罪で死刑が言い渡されたことがある。これに反発する支持者らが暴徒化し、たびたび警察と衝突していた。
 また、600人以上が犠牲となったビル倒壊事故に対し、ビル所有者への死刑を求める抗議活動なども行われており、不安定な情勢が続いている。

 フィナンシャル・タイムズ紙は、今年末に行われる選挙まで、情勢の改善は難しいだろうとみている。バングラデシュは1971年に独立して以来、与党アワミ連盟と、ライバル関係にあるバングラデシュ国民党とが激しく対立している。前述の戦犯法廷も、アワミ連盟党首のハシナ首相が設置していたものだ。

 こうした状況下で、警察は、デモを主導するイスラム強硬派「ヘファジャット・イスラミ党」の指導者をダッカから移送した。さらにナンバー2の事務局長を逮捕し、さらなる対立激化を避けようとしていると報じられている。

【経済に与える影響は】
 フィナンシャル・タイムズ紙は、今回起きた「衝突」が、国内で奮闘している「縫製業界」への影響を深刻化させる恐れがあると報じている。
 先月24日に起きた、史上最悪規模のビル倒壊事故の後、バングラデシュの主幹産業である縫製業界は、西側諸国のバイヤーの信頼性を取り戻そうと必死に模索している。
 度重なる暴動は、H&Mなど西側諸国のアパレル企業に打撃となる可能性があると報じられている。

Text by NewSphere 編集部