オランダ新国王即位 海外紙が分析する王室のあり方とは?

 オランダで4月30日、ベアトリックス女王の退位式後、ウィレム・アレクサンダー新国王(46歳)の即位式が行われた。オランダで男性国王が即位するのは、1890年にウィレムⅢ世が没して以来123年ぶりとなる。日本国の皇太子ご夫妻を始め、各国の王族が出席した。
 この日は「女王の日」にもあたり、人々はお祭り気分を楽しみ、宮殿の周辺では大勢の群衆が新国王の即位を祝ったと、海外各紙が報じている。
 海外各紙は、世界的な不景気のなか、オランダをはじめ各国における王室の存在意義について報じている。

【愛される王室】
 33年間在位したベアトリックス女王は、国民の人気が高かったと各紙は報じている。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、オランダ王室は他国の王室に比べ堅実と言われ、ベアトリックス女王が自転車で楽しく出かける様子はよく知られていると紹介した。
 また、新王妃となったアルゼンチン生まれのマクシマ王妃は、ウィレム国王との馴れ初めなどから、王室の人気をより高めていると、ニューヨーク・タイムズ紙は伝えている。
 その王室人気は、最近の世論調査の数字にも表れており、各紙とも80%前後が王室存続を支持しているなどと報じている。

【王室の役割】
 フィナンシャル・タイムズ紙によると、前女王は新連立政権の発足に関わるなど、去年その役を議会に解かれるまで活発な政治的役割を演じたという。
 そしてまた、新国王も即位式で、1581年に彼の子孫がオランダ連邦共和国独立の先頭に立ったという王国誕生の逸話を引用し、「王室は(オランダの)議会制民主主義と分かち難く結びついている」と発言したという。

 経済不況が続くオランダで、新国王はその状況打開を彼の課題と認識していると、ニューヨーク・タイムズ紙はみている。
 この不景気を理由に、ポピュリストの政治家は、現在の移民政策をやめ、外国生まれの者への福祉費支出を取り締まろうと圧力をかけているという。
 ウィレム国王は、多様性を尊重し「それぞれのバックグラウンドがいかに異なっていても、オランダ王国では、誰もが発言でき、等しい立場で社会の一員として寄与できるのだ」と発言したという。
 また、新王妃は、この夏、同性婚についての会議の開会式に出席予定である。
 これらを例に挙げ、新国王は社会と政治に対する自身の意見を持っており、新国王夫妻は、「儀式だけの存在」にはとどまらないだろうと同紙は述べている。

Text by NewSphere 編集部