ボストン・マラソン「爆弾テロ」 海外紙が報じる、凄惨な現場の模様

 人々の歓声と達成感に湧くはずのゴール会場が、一転して「地獄絵図」になった―
 15日、ボストン市内で行われたマラソン大会で「爆弾テロ」とみられる事件が発生。死亡者3人、負傷者100人以上の大惨事になった。更に同市図書館内でも火災が発生。後に事件とは無関係と判明したが、市内は混乱と緊張感に包まれている。
 オバマ大統領は事件発生後、緊急声明を発表。FBIは、今回の事件は「テロ攻撃」との見方を示した。現時点では、グループか単独行動か、国内外テロ組織か等の詳細は全く分かっておらず、さらなる調査が必要という。
 海外紙は、緊迫する現場の模様やホワイトハウス周辺の対応を伝えている。

【現場の様子】
 ボストン・マラソンは、オリンピックに次ぐ古い歴史を持つ、世界でも最大規模のマラソン大会で、毎年世界から数万人が参加する。事件現場が、応援する家族や地元の人で賑わうゴール付近だったことや、発生時刻が競技開始から4時間前後だったことをから、テロ首謀者は、最も混乱を招きやすい時間を狙っていたと見られる。

 爆発は短い間隔で2回あったと伝えられている。ニューヨーク・タイムズ紙は、現場の緊迫した状況を詳細に報じている。「耳をつんざくような爆撃音」「雲のような白い煙」「信号機に届きそうな勢いの、オレンジ色の火の玉」―。爆発で吹き飛ばされたランナー、足がない負傷者、気絶して横たわった子供。中には今来た道を(皮肉にも)全速力で戻る参加者や、突然の状況に対応できず道の真ん中で立ち尽くす人々もいた。サイレンが鳴り響き、警官が走り回り、家族を探す人々で現場は大混乱に陥った。

 現地病院も対応に追われた。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、非常に強い衝撃により、骨や組織に大きなダメージを受けた患者が多く、更に爆発により飛び散った物体から傷を負ったケースと、BB弾のようなメタルボールがX線から発見されたケースを報じている。ファイナンシャル・タイムズ紙も、戦争を思わせる現場の酷い状況に戸惑う関係者の証言を報道している。

【対策】
 その知名度と規模により、以前から同大会でのテロを危惧する声はあった。それに応える形で、地元警察は現地への警察官配備や救急サービスを用意していた。
 事件発生後、ボストン警察は緊急ラジオで、さらなる爆発に備え、参加者や市民に対し速やかな避難を呼びかけた。ニューヨークでは、「状況が把握できるまで」ホテルや空港の警備を強化する、とされた。

 ホワイトハウスの対応も早く、事件発生の報告を受けたオバマ大統領はすぐに関係者にサポートする旨の連絡を入れ、テレビを通し「必ず首謀者と原因を突き止める」と述べた。ホワイトハウスも、「現時点では首謀者は分からないが、明らかにテロ行為とみなされる」とし、国内のセキュリティレベルを上げるとした。

 今回の事件がテロ組織によるものと断定されれば、2001年の同時多発テロ事件以来の、アメリカ国内でのテロ事件となる。これ以前にも、飛行機や各都市を狙ったテロ事件は(未遂ながらも)発生しており、アルカイダをはじめとするテロ組織に敏感なオバマ政権にとって、より厳密なテロ対策が必須になるだろう。

 現段階では犯人の情報は入っておらず、現場の残留物や監視カメラの映像の分析による調査が続けられる。治安の回復と事件の1日でも早い解決のために、現地警察と政府の協力が不可欠になりそうだ。

Text by NewSphere 編集部