北朝鮮はなぜ挑発を続けるのか?
北朝鮮は8日、韓国と共同運営していた開城工業団地から、北朝鮮労働者5万3千人を引き揚げた。北朝鮮はすでに3日と6日、韓国人労働者の越境立入を禁止していた。
さらに9日には、「米韓傀儡戦争屋どもの永続的明確な敵対行為のために、朝鮮半島情勢は、刻一刻と(※冷戦ではない)熱い核戦争に近づいている」などと警告して、韓国内の外国人に退去を勧告した。
これも北朝鮮はすでに、駐北朝鮮の各国大使館に対し、4月10日以降の安全は保証できないと退去勧告していたところだった。
フィナンシャル・タイムズ紙は開城工業団地について、南北経済協力の唯一のシンボルと紹介した。120以上の韓国企業が工場を持ち、これまで約5億ドルを投資したと推定され、北朝鮮も年間利益推定1億ドルを稼いでいると解説した。
元米当局者によると、それでも北朝鮮は「彼らの誇りが、韓国の多くの人々が開城への依存増大について話しているという事実によって傷つけられてきた」ため、開城を閉鎖するしかなかったのかも知れないという。
ニューヨーク・タイムズ紙は、開城が操業され続けていることで、挑発に対する投資家の不安を鎮められていた点を指摘する。
韓国への外国人退去勧告については、日米両国は海外渡航情報の変更を行っておらず、在韓あるいは訪問予定の自国民に対して、特別な警戒の呼びかけはしていない。
今週にも公海へのミサイル試射が行われる可能性はあるが、米韓両国は、北朝鮮が「攻撃」の準備をしている兆候はないと声明している。
ニューヨーク・タイムズ紙は、韓国経済にダメージを与えることで、強硬路線を採る朴槿恵大統領の立場を危うくしようとする狙いを示唆する。ただ、同紙によれば、旅行会社や外国企業などに「安全の問い合わせ」「移転の検討」が出始めてはいるが、今のところ本格的な動きにはつながっていない模様である。
フィナンシャル・タイムズ紙は、「北朝鮮は、口で言う脅威に追いつこうと、大きなプレッシャーを感じているはずです」との専門家の意見を伝えた。
ニューヨーク・タイムズ紙は、北朝鮮の金正恩第一書記について、彼の父と祖父は時々核放棄交渉を示唆したのに引きかえ、挑発の動機がはっきりしないと評している。
「潜在的武器を手中に持っていることで攻撃を受けにくくなると計算しているのかも知れない」、「他の家族よりも多く、裁量余地を持てていると思うのかも知れない」が、ある米高官は「それは誤算につながりかねません」と語っているという。