汚職疑惑相次ぐ仏オランド政権 活路はあるのか?

汚職疑惑相次ぐ仏オランド政権 活路はあるのか? フランスのオランド大統領が、かつてない苦境に陥っているという。3日、脱税とマネーロンダリングの嫌疑で調べを受けていたカユザック元予算担当相が、担当予審判事による事情聴取の際、外国口座保有の事実を認め、同日、ブログ上で、大統領、国会、国民のすべてを欺いてきたことを謝罪したのだ。同氏は、報道によって疑惑が浮上した昨年12月以来、頑強に疑惑を否定し、3月19日に嫌疑が強まり辞任を余儀なくされた際にも「(自分は潔白だが)円滑な政策遂行のために」辞任すると表明していた。
 海外各紙は揃って、オランド政権の苦しい現状を分析、報道した。

 もともと「清廉潔白」な政府を標榜しつつ、財政赤字解消のための大幅な増税など、国民に「痛み」を強いてきたオランド政権。カユザック氏の嫌疑についても、大統領が否定し、同氏の支持を表明してきた経緯があって、国民の反発は激化するばかりだと伝えられる。
 フィナンシャル・タイムズ紙は、同国で任期が11ヶ月を越えた大統領としては史上初となる、27%という低支持率を記録したオランド大統領が、今回のカユザック氏の告白によってさらに打撃を受けるだろうと予測している。

 しかも、さらに大統領に追い討ちをかける疑惑があるという。仏紙ル・モンドも一員である国際調査ジャーナリスト協会(ICIJ)が、オフショア資金に関するリーク情報を調査・発表したところ、大統領のフランス国立行政学院時代の学友であり、大統領選挙時のオランド陣営の金庫番だったジャン・ジャック・オージェ氏の名前が挙がったのだ。インディペンデント紙(英)は、ケイマン諸島が世界でも有数の「緩い」銀行法で知られ、多国籍企業や裕福な個人の「タックスヘイブン」であると紹介しつつ、オージェ氏が、書店とオンライン旅行代理店の株の30%を保有する共同経営者として脱税疑惑が浮上していると報じた。
 オージェ氏は取材に対し、「利益の薄いビジネス」であり、「まったく合法で、脱税目的ではない」と疑惑を一蹴。また、モロッコ訪問中の大統領もテレビ中継で、オージェ氏の活動について「何も知らなかった」と述べ、「違法行為があったとすれば糾弾されるべき」であり、「相次ぐこうした事態によって踏みにじられてきた政治、経済の浄化をもたらすために、あらゆる措置を取る」とのコメントを表明したという。

 しかし、大統領の釈明は、政権を奪取された右派や痛みにあえぐ国民はもとより、党内をも納得させることができていない模様。特に、大統領・ヴァルス内務相・カユザック氏直属の上司だったモスコビシ財務相への風当たりは強く、内閣改造を求める声も高まっているという。ニューヨーク・タイムズ紙は、非難の槍玉に挙げられているモスコビシ氏の、「なんの落ち度もないのに、批判にさらされて、わたしこそが第一の被害者だ」とする声と、「国民の矛先は(自分ではなくその先の)大統領に向けられている」との見解を伝えた。

 国民の反発、勢いづく右派、党内部から上がる不満の声…総じて、四面楚歌のオランド政権の困難さが強く浮き彫りになった。

Text by NewSphere 編集部